古き良きハリウッド映画に最新の技術を駆使したエンターテインメント作品(2/2ページ)
兵頭頼明
2019/12/28
ストーリー、映像、音響……楽しみどころが満載
本作は不可能なミッションに挑んだ二人の男の友情物語であるとともに、緊迫のレースシーンを堪能できるスペクタクル映画でもある。66年のル・マンを再現したフォード車とフェラーリのデッドヒートは迫力満点で、音響効果も素晴らしい。まるでレース場にいるかのような臨場感を味わえる。
マット・デイモンとクリスチャン・ベールのキャスティングもピタリとハマっており、バディ・ムービーとしての魅力も十分だ。
目の前に立ちはだかる壁を乗り越えるためには、何よりも家族の愛と支え、そして信頼できる友が必要であるという古典的かつ普遍的なメッセージが胸を打つ。
古き良きハリウッド映画の骨格を最新の技術で肉付けした、感動のエンターテインメント作品である。こういう作品こそ、アカデミー賞レースに絡んでほしいと思う。
『フォードvsフェラーリ』
監督:ジェームズ・マンゴールド
脚本:ジェズ・バターワース/ジョン=ヘンリー・バターワース/ジェイソン・ケラー
出演:マット・デイモン/クリスチャン・ベール//カトリーナ・バルフ/ジョン・バーンサル/トレイシー・レッツ/ジョシュ・ルーカス/ノア・ジュープ ほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式HP:http://www.foxmovies-jp.com/fordvsferrari/
(c)2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
この記事を書いた人
映画評論家
1961年、宮崎県出身。早稲田大学政経学部卒業後、ニッポン放送に入社。日本映画ペンクラブ会員。2006年から映画専門誌『日本映画navi』(産経新聞出版)にコラム「兵頭頼明のこだわり指定席」を連載中。