ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

『アルキメデスの大戦』

「悲劇の戦艦大和」とは違ったアプローチで描かかれた反戦争映画(3/3ページ)

兵頭頼明兵頭頼明

2019/07/27

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

戦艦建造推進派で大和を設計した海軍造船中将・平山(田中泯)とのやり取りも味わい深い。立場は異なるが、平山もまた信念の男として描かれている。
監督は『永遠の0』(13)や『ALWAYS 三丁目の夕陽』シリーズ(05~12)の演出でドラマとVFXの融合に定評のある山崎貴。昭和初期の日本の再現は見事で、山崎ならではの圧巻のスペクタクル映像も用意されている。
戦艦大和を舞台にした戦争映画は数々あれど、それが建造されるまでの攻防を描いた作品というのは珍しい。原作コミックはまだ連載中であるし、大和が建造されたことは誰もが知る歴史的事実なので、当然ながら本作は映画独自の展開と結末を生むことになる。筆者はこの結末に唸った。
新しい視点とアプローチから生まれた反戦映画の佳品である。

『アルキメデスの大戦』
原作:三田紀房「アルキメデスの大戦」(講談社「ヤングマガジン」連載)
監督・脚本・VFX:山崎貴
出演:菅田将暉/柄本佑/浜辺美波/笑福亭鶴瓶/小林克也/小日向文世/國村隼/橋爪功/田中泯/舘ひろし ほか
配給:東宝
公式HP:http://archimedes-movie.jp/

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

映画評論家

1961年、宮崎県出身。早稲田大学政経学部卒業後、ニッポン放送に入社。日本映画ペンクラブ会員。2006年から映画専門誌『日本映画navi』(産経新聞出版)にコラム「兵頭頼明のこだわり指定席」を連載中。

ページのトップへ

ウチコミ!