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『ボヘミアン・ラプソディ』

映画館でこそ堪能できる 伝説のバンド〈クイーン〉の名曲とフレディ・マーキューの生き様(2/2ページ)

兵頭頼明兵頭頼明

2018/10/30

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〈クイーン〉は一躍世界的なスターとなり、フレディは史上最高のボーカリストとして称賛されるが、その栄光の影でフレディと他のメンバーは対立を深め、メディアからはスキャンダルを書き立てられる。取り巻きの裏切りにも遭い、ますます孤独を深めてゆくフレディであったが、そんな彼をかつての恋人メアリー(ルーシー・ボイントン)が支えてゆく。そして物語は、1985年に開催された20世紀最大の音楽イベント「ライブ・エイド」での21分に及ぶパフォーマンスへと流れ込んでゆくのである。

監督は『ユージュアル・サスペクツ』(95)で注目され、『X-MEN』(00)でヒットメイカーの仲間入りを果たしたブライアン・シンガー。緻密な構成と手堅い演出でラストまで駆け抜けてゆく。フレディ・マーキュリーを演じたラミ・マレックの演技も特筆ものだ。まるでフレディの魂が乗り移ったかのような名演である。出演者はすべて好演しているが、メンバーと対立するEMIレコード社長を『オースティン・パワーズ』(97)で知られる人気コメディアンのマイク・マイヤーズが演じるというサプライズも嬉しい。

本作はミュージカルではないが、既存の楽曲を使って構成するジュークボックス・ミュージカルの代表作『マンマ・ミーア!』(08)同様、お馴染みのヒット曲満載である。28曲にも及ぶ〈クイーン〉とフレディ・マーキュリーの名曲が、観客の心を掴んで離さない。改めて楽曲の力、そしてフレディ・マーキュリーという不世出のボーカリストの力を思い知らされた作品であるが、本作はその力に依存したのではなく、その力を最大限に生かした作品であることを強調しておきたい。〈クイーン〉の音楽を知る同世代のファンには堪えられない作品であり、彼らの音楽を知らない若い世代には新鮮な驚きと感動を与えてくれるはずだ。

クライマックスのライブシーンを堪能していただくためにも、大音量と巨大なスクリーンでの鑑賞をお薦めする。

『ボヘミアン・ラプソディ』
監督:ブライアン・シンガー
出演:ラミ・マレック/ルーシー・ボイントン/グウィリム・リー/ベン・ハーディ/ジョー・マッゼロ
配給:20世紀フォックス映画

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この記事を書いた人

映画評論家

1961年、宮崎県出身。早稲田大学政経学部卒業後、ニッポン放送に入社。日本映画ペンクラブ会員。2006年から映画専門誌『日本映画navi』(産経新聞出版)にコラム「兵頭頼明のこだわり指定席」を連載中。

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