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礼金は誰へのお礼? 敷金と保証金の違いは? キャンセルしたときに手付金は戻ってくるの?(3/4ページ)

大谷 昭二大谷 昭二

2020/06/29

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キャンセルしても手付金を戻せる? 戻せない? 戻す方法は?

Q.不動産が夫者など仲介業者に手付金として支払ったのですが、キャンセルしても返金されないのでしょうか?

A.本来、手付金として受け取ることができるのは、契約の当事者である家主だけです。仲介業者が便宜的に受け取る場合には家主からの代理権が必要であり、家主から、手付金の受領を認めるという委任状などを提示する必要があるとされています。

ですから、仲介業者が家主の代理権を証明するものを提示すれば手付金として受領することができるので、手付金支払い後にキャンセルする場合には、解約手付金扱いとなり手付金の返金は不可能になっても異議はいえません。

ところが、よくあるケースとして実際には代理権を得ずに手付金を受け取っているというものです。以前は、仲介業者が代理権なしに便宜的に手付金を受け取ることも慣習として黙認されることも多かったのですが、最近は厳密に解釈するようになってきています。

一方、賃貸借契約そのものは、手付金の授受によって成立するという考え方もあります。具体的には、仲介業者が預かった手付金を家主の元に届け、それを受けて家主も契約書を発送した(契約の着手と考えられます)あとでは手付金は、解約手付金として扱われてもおかしくありません。

つまり、仲介業者が預かってから一定の期間が経過してしまうと、解約手付金として処理されても仕方がないと思います。この「一定の期間」は、通常1週間ぐらいになります。

逆に、仲介業者に手付金として支払った場合でも、正式の代理権がなかったとき(支払い時に代理権を証明するものを提示されなかったとき)で、支払い直後のキャンセルであれば、返金に応じるべきであると解釈されるようになってきています。

とはいえ、手付金として支払う際は、「キャンセルしたら返金されない」ということを覚悟して支払うべきでしょう。なぜなら、手付金を支払えば、借主だけでなく家主に対しても強い拘束力があるからです。安易に、「仮押さえ」するつもりで手付金を支払うのではなく、迷っているのであればそのことを仲介業者に伝え猶予をもらうようにすることで無用なトラブルをさけることができるはずです。

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この記事を書いた人

NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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