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契約書はこのポイントを確認しよう

賃貸借契約の内容について知っておきたい基礎知識(2/2ページ)

秋津智幸秋津智幸

2016/02/18

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契約書類で確認しておきたいこと

それでは、契約書の内容で確認しておくべきポイントをまとめてみましょう。

(1)賃料や管理費等の支払い
 賃料や管理費、自治会費や設備の使用料などの支払い期日、支払い方法を確認します。振込なのか自動引き落としなのか。また家賃の滞納があった場合、延滞金が必要になるのかなど確認しておきます。

(2)契約期間と契約更新について
 契約期間を確認しておきます。また、契約更新についてのルールも契約時にきちんと確認しておきましょう。更新料はいくらかかるのか、契約更新をしない場合はいつまでに申し出ればいいのかなど。

 月途中での退去の場合、家賃は日割りで返金してもらえるのかも確認しましょう。また、契約更新時には手数料がかかることもあるので、更新料以外にかかる費用はあるのかなど確認しておきましょう。

(3)修繕について
 床や壁の破損、お風呂やトイレの故障など、入居中に修繕が必要になった場合の対応についても確認しておきます。経年劣化の修繕は原則貸主の負担ですが、入居者の過失などがあった場合は入居者の負担となる場合もありますので負担義務の範囲を確認しておくといいでしょう。

(4)原状回復義務の範囲について
 賃貸借契約が終了、つまり退去するときには、入居者は部屋を原状に回復して返還する義務を負っています。これを「原状回復義務」といいますが、決して借りた時の状態に戻さなければいけないということではありません。

 元に戻さなければならないのは、入居者が自分で設置したり、改造したりしたものや、入居者の過失によって壊れてしまったものなどに限られていて、通常の生活で劣化、消耗したものについては、それを入居者の負担で新品に戻す必要はありません。

 ですが、実際には原状回復義務の範囲について、退去時にトラブルとなることが多くあります。トラブルを防ぐためにも、契約時に説明される回復義務の書面を必ず確認しましょう。

 なお、現在は国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」というガイドラインがあり、それに則って退去時の原状回復が行われることが一般的となってきました。

(4)特約事項の確認
 一般的な賃貸借の契約内容に加えて、特約事項でその物件での特別な取り決めが記載されているケースがあるので、特記事項についても必ず確認をしましょう。

 もちろん、法律違反になるような内容や非常識な特約は無効になりますが、無用なトラブルを防ぐためにも特約事項は内容をきちんと確認しておきましょう。

(5)禁止事項の確認
 ペットの飼育や楽器の使用が禁止されている契約もあります。また無断で長期間にわたり入居者以外の人を同居させることも禁止されていることがあります。違反をした場合は退去を求められるケースもありますので禁止事項は事前に把握しておきましょう。

知識を身につけてトラブルを避けよう

基本的に契約は一度締結すると、後で変更することができません。専門用語や法律用語が多くてわかりづらくても、理解があいまいなまま契約してしまわないようにしましょう。わからないことは質問してきちんと内容を理解してから契約する姿勢が必要です。後々のトラブルを避けるためにも、ここで紹介した基礎知識を身につけておきましょう。

なお、賃貸借契約には、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類あります。普通借家契約は一般的な賃貸契約で、限定された特別な理由がない限り契約が更新される契約です。定期借家契約は期間があらかじめ決まっている契約形態で、原則として契約の更新がなく期間の満了により終了する賃貸契約のことです。契約前にどちらの契約になるのかも確認しておきましょう。

 

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この記事を書いた人

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント

公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、AFP、ファイナンシャルプランニング技能士2級。 神奈川県住宅供給公社にて、分譲マンション、一戸建・宅地分譲、高齢者住宅等の新規不動産販売部門に従事した後、同社賃貸部門にて賃貸物件の募集、管理業務に従事する。その後、不動産投資専門の仲介会社を経て、不動産コンサルタントとして独立。 現在は「不動産サポートオフィス」の代表コンサルタントとして、自宅の購入、不動産投資、住み替え、融資など多岐にわたる不動産に関する相談・コンサルティングを行なう。その他、不動産業者向けの研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。 主な著書に、「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)、「失敗ゼロにする不動産投資でお金を増やす!」「賃貸生活A to Z」(アスペクト)がある。

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