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負担が重くなる火災・地震保険の次回の改定は2021年1月ごろ?(2/3ページ)

平野 敦之平野 敦之

2020/05/22

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■築浅物件には割引、全国的には保険料引き上げ――次回の火災保険の届出の内容

火災保険の改定は、業界団体である損害保険料率算出機構が改定を必要と判断した場合、金融庁長官宛てに改定の届出を出すことからはじまります。その後金融庁の適合性審査が終了した後に、一定の周知期間などを経て損保各社が改定を実施します。損害保険料率算出機構が出すのは保険料の中の将来の保険金と支払う部分(純保険料)を参考純率として算出します。実際にはここに損保会社の事務経費などに該当する付加保険料を足したものが契約者の支払う保険料になります。この付加保険料部分は各社で異なるため、改定幅なども損保によって違います。2019年10月に大手損保などが火災保険の改定を実際した際、同月に損害保険料率算出機構が次の改定の届出を出し、適合性審査が終了しています。改定の内容は次の2つです。

・全国平均での保険料の引き上げ
・築年数が浅い住宅について割引の導入

この改定の背景の一つは何度も繰り返しになりますが、一つは風水災の災害による保険金の支払いの増加です。もう一つは築年数によるリスク差を反映させることです。水濡れ損害については築浅の物件はリスクが低いためこれを保険料に反映させるわけです。改定の届出の資料の中にある割引率の例は次のようになっています。

築5年未満…平均28%の割引
築5年以上10年未満…平均20%の割引

*割引率は物件の所在地や構造・補償内容等の契約条件によって異なる。

築5年未満だと多くのケースで保険料が値下げになるものの、逆に10年以上では値上がり幅が大きくなります。この改定を具体的に各損保が自社の火災保険料率にどのように反映させるかはいまのところ未定です。火災保険についての今後の方向性として築年数が大きく関係してくると考えてください。

気になるのがこの改定の具体的な実施日です。明確な時期は分かりませんが、損害保険料率算出機構が改定の届出をして金融庁の適合性審査が終わってから、1年から1年半程度の期間が実施されることが多いようです(このように決まっているわけではありません)。2019年10月にこれらのことが終わっていることを考えると、2021年1月にも地震保険の3段階3回目の改定が見込まれていますが、ここを起点に前後数カ月に実施される可能性があると考えてください。

次ページ ▶︎ | 改定時期の把握と補償内容の確認で、火災保険の料率改定に対応

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この記事を書いた人

平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp

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