ローカル団地で妻を襲った「公園デビュー」の洗礼(2/2ページ)
藤谷圭司
2016/04/14
時の経過と無邪気な2歳の娘が助けてくれた
しかし、2歳の娘は大声で日本の歌を歌ったり、日本語でベトナム人の子どもに話しかけたりと、ネガティブな気分に傾く母親とは関係なしに笑顔で遊びまわっていました。
2歳児には日本語もベトナム語も関係なく、ただ純粋な好奇心だけで自由に、誰の目も気にせず振る舞っていました。本当に動物のように、本能だけで自然におじいちゃん、おばあちゃんに関わっていました。
そして、時間の経過と無邪気な娘のおかげで、だんだんとローカル団地にいることが自然になってきました。
ベトナム人は何にも気にしない
ちょうどその頃、ベトナム在住20年の日本人夫妻と家族で食事をする機会がありました。そこで、旦那さんがこう話してくれたのです。
「ベトナム人はとにかく周りなんて気にしない。日本人みたいに気にしないんだよ。初めはよくわからなかったけど、本当に気にしてない。20年住んで、いまはそれがすごく楽だし、ステキなことだった気づいたよ」
日本ならご近所さんから通報されるかもしれないのに、外国人かベトナム人か、何だかよくわからない人がいても、ベトナム人は全然気にしない!!
妻も確信したようです。もう公園に行っても、相変わらずおじいちゃん、おばちゃんにベトナム語が全然通じなくても何も感じないようです。「自分たちは、自分たちが思うほどたいして気にされてない」という実感があるから。
そうして肩の力が抜けると、不思議と周囲のベトナム人ももっと近づいてくるようになりました。ろくな会話にならずともいろいろとベトナム語で話しかけてくるおばあちゃんや、よくわからない南国のフルーツを「これ日本にあるか?」とオマケしてくれるおばちゃん。
何だかよくわからない外国人家族、という存在感は変わらないまま、何となく周囲に認知され助けられ暮らしています。
言葉の習得はそれに伴ってくるもので、外国人がローカルに暮らすための秘訣とは、言葉が通じずとも、ただ同じ空間に居続け、心を閉じずにいることなのだなあと妻の経験からも感じました。
この記事を書いた人
ベトナム在住で、現在、在ベトナム外資系企業に勤務中。 中国の大学を卒業して、その後一貫してベトナム周りのビジネスをして14年目。 アジア田舎暮らしをテーマに、現在も日本人が一家族もいないローカル団地に、家族3人で生活中。