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犬と猫との同居ができる高齢者施設を増やすために必要なこと(3/3ページ)

山本 葉子山本 葉子

2020/04/27

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ペット暮らせる高齢者住宅を成功させるポイントとは

「高齢者が犬猫と暮らせる住宅や施設運営で、成功するのは不可能か?」と問われたら、それは可能です。
ごく普通のペットOK物件の、高齢者対応バージョンにすればよいだけのこと。
もちろん、運営には工夫が必要ですが、必要な入居者数を獲得することは可能でしょう。

以前のコラムでも申し上げましたが、動物と暮らす住宅や施設の運営に必須なのは「従来通りの管理に加えて、犬猫の知識のある管理者の雇用」です。
高齢者を受け入れるのなら、これに加えて万一の時の対応や連絡先の確保、動物を残していかないで済むようなシステムを作っておくことです。

猫に関していえば手前味噌ですが、私の運営しているNPO法人東京キャトガーディアンの「ねこのゆめ~成猫のお引き取りと再譲渡事業~」などがそれにあたります。

高齢者が猫を連れて入居する際に、万一に備えて猫の引受先を確保していただいていれば、最悪の事態を回避することができますし、それ自体が物件に付随するサービスとして魅力となるはずです。犬の場合も同様に、必要な知識のある管理者と万一の際の対応の取り決め、そして動物を取り残さないで済むように動物保護団体なりと提携することで、無理なくユニークな物件運用が可能になります。

余談ですが、1000坪以上の土地があり、上物も建てていただける条件で、「犬猫を連れて入居できる高齢者住宅」のお話をいただいて数年。いまだに進められずにいるケースがあります。最大のネックになっているのがアクセスの悪さです。入居希望者を募るのにも不利ですが、運営にも何もかもがとても高くついてしまい、保護団体的な手法を持ち込もうにも「スタッフもボランティアさんも住み込みでなければ無理」となってしまうため、いまだに夢のプロジェクトになっています。

人口の多い都市部での、コンパクトな高齢者対応文/山本葉子(NPO法人東京キャットガーディアン代表)でペットもOK(他にも色々柔軟な対応)の物件運営は、とても手堅く、かつ社会貢献になると思います。建物ではなくサービスをセールスポイントにしていけたらうよいのにと、切に思います。

次回以降は、「複合カフェと猫カフェのコラボ」「企業の福利厚生施設としての保護猫カフェ」「保護犬・保護猫で町おこし」「町会ほどの単位での動物と共生する街」「ネコワーキングスペース運営」などについて、次々ご紹介していく予定です。お楽しみに。

 文/山本葉子(NPO法人東京キャットガーディアン代表)

 

 

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この記事を書いた人

NPO法人東京キャットガーディアン 代表

東京都生まれ。2008年猫カフェスペースを設けた開放型シェルター(保護猫カフェ)を立ち上げ、2019年末までに7000頭以上の猫を里親に譲渡。住民が猫の預かりボランティアをする「猫付きマンション」「猫付きシェアハウス」を考案。「足りないのは愛情ではなくシステム」をモットーに保護猫活動を行っている。

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