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孤独死の後にくる「遺品整理」問題(2/4ページ)

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遺品整理ができないこれだけの事情

居住者が亡くなったあと、1日もはやく片付けて新しい入居者を募集したくても、それができないという状態に陥るケースもある。

というのも、残された家財は「遺品」であり、相続と関係するためこれが決着しなくては手を付けたくても付けられない。しかも、一人暮らしの高齢者の中には親族と疎遠になっている人もいる。そのため早期の遺品整理を求めてもなかなか進まなかったり、場合によっては待たされた挙げ句相続放棄され、遺品整理はオーナーが行うことも少なからずあるということから、最近では遺品整理に関係したトラブルも起きている。その1つが遺品整理をめぐる遺族とのトラブルである。

一般的に孤独死の場合、遺体発見後、警察に連絡し、警察によって検視が行われる。そこで不審な点がなければ、死体検案書が作成される。もちろん、遺体発見後、保証人などがいればそこに連絡をするわけだが、保証人が親族でない場合、連絡できないケースも。ただ、こうしたケースでは、警察が親族を捜し出してくれるという。

そこで相続人となる親族との間で、賃貸契約の解除や未払い家賃の精算、遺品整理などについて話し合いが行われる。オーナーとしては、家賃を払ってもらえればよいとはいえ、できれば1日でも早く部屋を片付けてもらって、新しい入居者を募集したいところ。しかし、相続人の同意なくオーナーが進めれば後々問題になる。そのため相続について決まらない限り、遺品整理などを進めることはできないのが現実だ。

一方、相続する側も相続が確定する前に何らかの対応をすることに慎重だ。というのも、相続が確定しない段階で契約解除や遺品整理を行うと「単純承認」、つまり借金も含めて相続財産を全て承継する、と見なされることがあるからだ。そのため、後に相続放棄ができなくなることを心配して手を付けないというわけ。とくに疎遠になっている親族の場合、相続についてはっきり決まらなければ、そのまま放置されることもしばしば起こる。

もちろん、相続人とは別に連帯保証人がいれば、保証人に対応を求めることは可能だが、遺品については相続人の同意がなければどうにもならない。結局は、相続問題が決着しなくては手が付けられないのだ。そして相続放棄され、保証人が金銭的な対応をしたとしても、具体的な対応はオーナーがしなければならないということも往々にして起こる。ただ、連帯保証人が相続人の場合は、相続放棄による債務はないが、連帯保証人としての債務は残るので、未払い家賃の請求や遺品整理を求めることは可能だ。

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