金利変動等のリスクのほか保有コストも知っておこう(2/2ページ)
大倉修治
2016/02/17
リスク5 災害等のリスク
火災、地震、台風や集中豪雨に伴う水災(床上浸水や土砂崩れ)、風災(屋根が飛ぶなど)などによって投資対象となる建物に損害が出ることで収益性が悪化することになります。
大きな地震については今後も懸念されるところです。事前に、建物の耐震性(建物の構造だけでなく土地の地盤についても)についてはチェックしておくべきでしょう。一般的には、昭和56年6月1日以降の新耐震基準施工後の建物については安全と考えられていますが、一概にそうともいえないこともあるようです。
水災の危険性については、事前に物件が所在する地域のハザードマップ等でチェックしておくとよいでしょう。なお、災害時のリスクに関してはある程度、火災保険や地震保険等でカバーすることが可能です。火災保険・地震保険の詳細については、また別の機会にお話ししたいと思います。
リスク6 取引時および保有時のコストが高い
不動産は株式投資等と比べると取引時や保有時のコストが高いです。不動産業者の仲介により不動産を売買する際には仲介手数料が物件価格の概ね3パーセント(売買で計6パーセント)かかります。また、取得時には不動産取得税や登録免許税、印紙税等、売却時に売却益(譲渡益)があればそれに対して課税されます。
さらに保有時には、固定資産税・都市計画税、維持管理・修繕に伴う費用が発生します。
維持管理・修繕に伴う費用とは、水道光熱費などの実費の他、入居者やテナントの募集、入居者に対する賃料請求、入金業務といった入居者の管理業務にかかる費用、日常清掃業務、定期清掃業務、保守・点検、警備業務といった建物の経済的価値を適正に維持管理及び原状回復するための費用などです。
入居者の管理、建物の維持・管理といった業務を、不動産管理会社等に任せる場合には、不動産管理会社に管理手数料を支払うことになります。管理手数料は、どこまでの業務を委託するかによって、その金額は異なってきます。費用(コスト)対効果(管理の質の向上によって見込める収益のアップ)を勘案した上で、業務を委託したほうがよいでしょう。
なお、家賃収入に対しても、税金計算上、黒字の賃貸経営であれば課税されます。税金計算の仕組みについては改めてお話しします。
この記事を書いた人
CFP、1級ファイナンシャルプラニンング技能士
DCマイスター、宅地建物取引士 1972年生まれ。立教大学卒業。学生時代はラグビー部に所属。 大手住宅メーカー、 住宅・マンションディベロッパー、外資系生命保険会社を経る過程で、お客様にとって「偏りのない納得性の高いアドバイス」を提供したいという思いから、20世紀末より、ファイナンシャルプランナー(FP)としての業務を始める。