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ペットを飼い始める人が増えた2020年 賃貸物件の「消極的ペット可」の末路に注意(2/2ページ)

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以下が、20年の1年間にペット1頭へ支出した費用の平均である。19年の数字も添えておこう。

「犬」
20年 …33万8561円(前年比110.4%)
19年 …30万6801円

「猫」
20年 …16万4835円(前年比103.9%)
19年 …15万8680円

なお、この数字の内訳を見ると、ここにも「コロナ」の影響がいくつか及んでいることが分かる。例えば、そのひとつ「ケガや病気の治療費」だ。

「犬」
20年 …6万430円(前年比134.7%)
19年 …4万4869円

「猫」
20年 …3万1848円(前年比133.1%)
19年 …2万3919円

「ペットホテル・ペットシッター費用」です。

「犬」
20年 …3991円(前年比47.9%)
19年 …8339円

「猫」
20年 …1609円(前年比46.4%)
19年 …3469円

これらについて、アニコム損害保険では、

「コロナ禍により、ペットと家で一緒に過ごす時間が増えたことから、些細な変化に気付き、病院に連れていくことが多くなった結果か?」(ケガや病気の治療費)

「外出自粛により旅行などに行けなかった人が多かったことがうかがえる」(ペットホテル・ペットシッター費用)

との旨をコメントしている。後者は特に的を射たものといえるだろう。

ところで、賃貸住宅での「ペット可」とひと口にいうが、そのスタンスは大きく2つに分かれる。一方は、「ペット共生型」だ。飼育のための環境や設備が整った、いわばペット歓迎型の物件である。

もう一方は、消極的なケース。設備などには投資せずに、専ら空室対策のため、入居条件のみを「ペット可」とするものだ。

これらについては、いろいろと意見も聞かれるが、実は、筆者は後者のスタイルはあまり好きではない。そのため、後者を行うオーナーに対しても、

「徐々に壁紙や床材などをペット対応のものに替えたり、リードフックを取り付けたりなど、できる範囲で投資はされていった方がいいですよ」

と、すすめている。理由は、後者のケースで、物件が急速に荒れていくのをたまに見るからである。ペットがいることによる建物の劣化のみならず、

「空室が埋まらないので、本来望まないペット可を選ばざるを得なくなってしまった。本当は嫌だ……」

オーナーのそうしたメンタルが管理に影響し、それが物件の様子にも表れてくる。例えば、捨てられたチラシが床に散らばるエントランスの壁に、騒音がどうだの、駐輪のし方がああだのと、生活に関する注意書きがベタベタと貼られている……。

そんな、入居者同士までがギスギスした雰囲気の物件が、“消極的ペット可”で運営されているケースを筆者は過去にいくつか見てきている。ペット可にする以上、ペットは入居者の一員だ。

犬や猫は、もちろん彼ら自身が家賃を払ってくれるわけではないが、彼らがいてくれたからこそ、飼い主である入居者は、その物件を選んでくれたわけだ。いわば、ペットは縁結びの神様である。

「ペット可を運営するなら、彼らを大事にしないと運気が下がるぞ」

そんな気持ちで、ぜひペットたちを迎えてあげたいものだ。

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