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失敗しない中古マンション投資

設備にとらわれるとよい物件とダメな物件の区別がつかなくなる(2/2ページ)

佐々木秀行佐々木秀行

2019/12/05

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必要なのは設備ではなく、物件見極めの基準

こうした調査を参考に物件を選ぶのは1つの目安になりますが、やはり、自分の目で見ることもとても大切です。実際に区分マンションをいろいろと見ていくと、よい物件、ダメな物件の違いというのはだんだんとわかってきます。

例えば、いまや必須の設備になっている洗濯置き場ですが、単身者向けのマンションで築20年以上前の物件では、洗濯機置き場がない部屋やあってもバルコニーに設置されている物件が意外と多いのです。

これは2000年以前のマンションでは、居住スペースを広くするために洗濯機置き場のスペースを取らなかったためです。とくにこの当時は、単身向けというとまだワンルームマンションが主流だったこともあります。そのため1階にコインランドリーがあるケースも多く見られます。

しかし、近くにコインランドリーがあっても、室内に洗濯機置き場がない物件を選ぶのはNG。また、バルコニーの洗濯機置き場もダメな物件です。

「女性に選んでもらえる物件」――これは私の物件選びの一貫した基準です。そもそも女性に受け入れられない物件では、それだけで入居可能な人の半分を失ってしまう。また女性に選んでもらえる、住みやすい物件は男性にも住みやすい物件ともいえるでしょう。

洗濯機置き場にしても、一人暮らしの女性にとって洗濯をバルコニーで行うのは、誰かに見られているのではないという不安がつきまといます。また、洗濯機置き場のない部屋に洗濯機を置くには、給水や排水をどうするのかという問題、そもそも部屋のどこに置くかも大きな問題になりますし、洗濯機がないのは、男女ともにとても不便ですよね。

こうして見てくると、入居者に人気の設備ランキングの下位でも見逃せない設備である「独立洗面化粧台」「浴室換気乾燥機」、またオートロックも含めた「防犯カメラ」や「ホームセキュリティ」といった防犯設備もまた女性にとってはとても関心の高い設備といえるでしょう。

むしろ、この視点を外さなければ、「バス・トイレが別」というような、巷間いわれているような“常識”は無視をしてもよいと思います。実際、私の経験からは「バス・トイレが別」は必須な条件ではなく、私が保有している物件の半分は「バス・トイレは一緒」です。

物件探しをしていると、どうしても設備面に目が向かいがちになります。しかし、設備が付いていればよいとわけではありません。何を基準にして物件を見極めるか明確にして見ていくことが重要で、それに必要な設備があるか、ないかで見ることで、設備の有無に惑わされない物件選びができるのです。

 

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この記事を書いた人

司法書士

1977年、千葉県流山市生まれ。千葉県立柏高等学校、中央大学商学部経営学科を卒業。卒業後、帝人株式会社に入社。医薬品の営業部門に配属される。退職後の2005年、2回目の試験で司法書士試験に合格。翌年、簡裁訴訟代理関係業務認定試験に合格。合格後、千葉県内の司法書士法人にて不動産登記業務及び商業登記業務の実務を経験し、その後、都内の司法書士事務所にて債務整理の実務を経験する。2010年、司法書士髙山・佐々木事務所設立。

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