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空き家活用術

建築基準法の一部改正で、空き家対策が進む?(2/3ページ)

川久保文佳川久保文佳

2019/07/12

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緩和される建築確認申請と検査済証で

また、木造建築物の整備基準の対象見直しも行われ、今まで木造建築物の耐火構造物とすべき木造建築物が高さ13メートルで軒高9メートル超えだったものが、高さ16メートル超・階数4階以上とされました。加えて、木材をそのまま見せる「あらわし」等も耐火構造以外の構造を可能とする見直しも行われています。

この見直しによっても中古住宅の取り引きが容易になると見られています。また、住宅を宿泊事業に転用する場合、建築確認申請と検査済証を求められました。この要件も用途変更に伴って建築確認が必要となる規模の見直しということで、緩和されています。

古い住宅では相続や転売によって持ち主が変更していた場合や古い住宅では、図面など書類が残っていない場合もあります。そのため転用にあたっては、第三者機関での検査と書類作成を行ってくださいという指導がありました。そこで第三者機関に依頼すると高額な費用が掛かっていました。そのため検査書類がなため転用を断念していた住宅も多くありました。

さらに、従来日本家屋において、木造建築物の多くは木造をそのまま見せる(あらわし)で建てられている部分も多く、これも転用の壁となっていました。

しかし、今回の緩和によって、こうしたハードルが低くなり、利活用できる範囲が広がってきました。この時期をみて、このような既存ストック住宅での宿泊利用への申請が増えてきているようです。

これまでホテルや旅館、簡易宿泊所、民泊などを開始しようとした場合、小さな住宅の転用は収益面で多くを見込めませんでした。
しかし、200㎡未満まで住宅では規制が緩和され、規定されているトイレやシャワーの設置部分も確保できるようになったことで、既存ストック住宅からの転用は宿泊人数を確保できるようになりました。

結果、空き家の転用が活発になり、不動産物件の中古市場も動いています。しかし、大きな住宅が緩和によって、転用可能になっている一方で、昭和30年代に建てられた極小住宅や文化住宅などは、まだまだ宿泊転用が難しい状況があります。

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この記事を書いた人

一般社団法人空家空室対策推進協会代表理事/株式会社エアロスペース CEO/ビーモア株式会社代表取締役タナメラジャパン(マレーシアスパコスメ)代表/jasmin(全国民泊同業組合連合会)理事

一般社団法人空家空室対策推進協会代表理事/株式会社エアロスペース CEO/ビーモア株式会社代表取締役タナメラジャパン(マレーシアスパコスメ)代表/jasmin(全国民泊同業組合連合会)理事 北海道函館市生まれ。現在の札幌国際大学 卒業後、リクルート住宅情報事業部にてライターを務めた後、IT企業を経て不動産関連事業へ転身。その一方で、化粧品とサプリメントのコンサルティングや専門家としてのアドバイザー務める。海外派遣先では、フィリピン・タイ・カンボジア・マレーシアなどで日本への輸出入をテーマにセミナーを行うなどマルチに活動している。

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