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家とお墓の関係性

人は「家」と「墓」に何を求めるのか?(2/2ページ)

正木 晃正木 晃

2019/06/18

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現代人の感覚では、住居よりもお墓にお金をかけるなどということは、愚の骨頂かもしれません。しかし、現時点でも、お墓に大枚のお金をかける人が、まったくいないわけではありません。

日本最大級の墓地と言われる高野山の奥の院を訪ねると、中世以来のお墓と並んで、現代のお墓がたくさんあります。中には、豪邸並みの敷地を誇るお墓もあります。

全部がそうとは断言できませんが、わたしが知る限り、恵まれない境遇から頑張って、社会的な成功を獲得した人ほど、立派なお墓をつくる傾向が見られます。そういう人は、住居もさぞ立派にちがいありません。生前は住居の立派さで、死後はお墓の立派さで、ステイタスをしめしたいということなのでしょう。

住居の立派さがステイタスのあかしといえば、とりわけ芸能関係者に、そう考える人が多い気がします。でも、芸能人が驚くほど立派なお墓をつくったという話は、知りません。なぜでしょうか。自分の人気など、所詮は一時的で、すぐ人々の記憶から消し去られてしまうと思っているからでしょうか。

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この記事を書いた人

宗教学者

1953年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院博士課程修了。専門は宗教学(日本・チベット密教)。特に修行における心身変容や図像表現を研究。主著に『お坊さんのための「仏教入門」』『あなたの知らない「仏教」入門』『現代日本語訳 法華経』『現代日本語訳 日蓮の立正安国論』『再興! 日本仏教』『カラーリング・マンダラ』『現代日本語訳空海の秘蔵宝鑰』(いずれも春秋社)、『密教』(講談社)、『マンダラとは何か』(NHK出版)など多数。

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