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改正民法における賃貸借契約 その2(1/2ページ)

森田雅也森田雅也

2019/08/23

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前回に引き続き、民法改正に伴う賃貸借契約の変更点についてお伝えします。

今回取り上げるのは、賃貸借契約にとってなくてはならない連帯保証に関する変更点についてです。

連帯保証は、賃貸借契約で多く取り入れられており、賃借人が債務を履行しない時に連帯保証人に対して債務を履行してもらいます。
例として、家賃を賃借人が支払わないとき、賃貸人は保証人に対して家賃を請求することが考えられます。この連帯保証契約を締結していないと賃貸人は家賃を回収することが困難になります。
しかし、連帯保証契約を締結していると、連帯保証人は、いわば他人である賃借人が使用している物件に関する家賃を支払い続ける可能性もあり、それが大きな負担となっていました。

これに伴い、連帯保証人の保護という観点から2つの改正が行われます。 一つ目は、個人保証においての極度額の設定です。極度額とは、連帯保証人が負わなければならない責任の限度額です。この極度額を保証契約書(通常は、賃貸借契約書が保証契約書を兼ねている場合が多いと思われます。)に記載しないと、連帯保証契約は無効となります。したがって、民法改正後は、保証契約書や賃貸借契約書において、極度額を記入するタイプの契約書に変更する必要があります。
なお、極度額を明記することにより、連帯保証をすることによって支払う可能性のある額を保証人に認識させることになるため、保証人にとっては心理的にためらいやすくなり、保証人になること自体を拒絶されてしまうケースが増えると考えられます。
個人保証ではなく法人保証(いわゆる家賃債務保証会社による保証)の場合には、極度額による規制の対象には含まれませんので、民法改正後は保証会社の利用がさらに促進されることになると予想されます。

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この記事を書いた人

弁護士

弁護士法人Authense法律事務所 弁護士(東京弁護士会所属)。 上智大学法科大学院卒業後、中央総合法律事務所を経て、弁護士法人法律事務所オーセンスに入所。入所後は不動産法務部門の立ち上げに尽力し、不動産オーナーの弁護士として、主に様々な不動産問題を取り扱い、年間解決実績1,500件超と業界トップクラスの実績を残す。不動産業界の顧問も多く抱えている。一方、近年では不動産と関係が強い相続部門を立ち上げ、年1,000件を超える相続問題を取り扱い、多数のトラブル事案を解決。 不動産×相続という多面的法律視点で、相続・遺言セミナー、執筆活動なども多数行っている。 [著書]「自分でできる家賃滞納対策 自主管理型一般家主の賃貸経営バイブル」(中央経済社)。 [担当]契約書作成 森田雅也は個人間直接売買において契約書の作成を行います。

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