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不動産投資のポイント①-物件資料編(2/2ページ)

熊ヶ谷一幸熊ヶ谷一幸

2016/06/10

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■築年数など

1981年に建築基準法が改正され、建物の耐震基準が大幅に強化されています。よって、1981年前後に建てられた建築物は、それ以降の建物と比べ耐震性が劣る可能性がありますので注意が必要です。また利回りが高くとも、築年数が古ければ、既存の建物が賃料を生んでくれる期間が短くなるばかりか、大規模修繕費などが必要となり、 賃料収入の大部分を改修費用などに費やすはめになる事もあります。特に築年数が経った物件では、それまでの所有者が計画的メンテナンスを行なってきたかどうかで、購入後の改修費用が大きく異なります。内覧時に躯体に歪みが無いかなどをしっかりとチェックするとともに、可能な限り過去の改修履歴の提出を求めて、その内容をしっかりと精査しましょう。

■遵法性について

建物の建築は建築基準法によって制限されています。この建築基準法に適合した建築物であることを証明するために、建物建築前に「確認済証」、 建物建築完了時には「検査済証」が行政機関(民間検査機関)から交付されます。
残念ながら、私の地元「大阪」では他の都道府県と比べて、確認済証や検査済証の交付を受けていない物件の割合が高いので、十分な注意が必要です。利回りが高く、立地や築年数に問題が無くとも、違法建築などにより遵法性に問題があれば、金融機関の融資が受けられない可能性が高まるので特に注意が必要です。また仮に自己資金で投資したとしても、融資先が確保できない物件では、売却が難しくなります。また、検査済証があっても、検査時点から用途変更・位置変更等、官公庁に届出を要するような大きな変更が行なわれていないか、確認しておく方が望ましいでしょう。そのほか、各自治体により設けられた駐車場附置義務や景観条例等の条例を充足しているか否かについても、チェックする事をお勧め致します。

■その他について

最後に、案外見落としがちなポイントが既存入居者との賃貸借契約書です。現在の所有者又は管理会社がしっかりした賃貸借契約書を作成・使用していない場合、将来時点で入居者との紛争が起こる可能性があります。特に敷引や原状回復などに関わる文言は、契約書の表記方法によっては、その記載内容が消費者保護法や民法上、無効なケースが多く、入居者から「契約書に記載された敷引や原状回復義務を無効とする訴えを起こされ家主側が敗訴するケース」が激増しております。
今後、更に敷引・原状回復による紛争が増える事は、ほぼ間違いない状況下にありますので、収益物件の購入を検討する際には十分注意しておく事が必要です。

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この記事を書いた人

不動産鑑定士

株式会社東洋不動産研究所 代表取締役。1966年(昭和41年)生まれ。平成元年 慶応義塾大学法学部政治学科卒業。 学生時代はバトミントンなどのスポーツとアルバイトに没頭。不動産を生かすのは人間次第であり、個人生活・企業活動の成長は不動産のあり方・価値を極大化し、さらに個人生活・企業活動を成長させる、という不動産とのベストな付き合い方を提唱。どのタイミングで取得して処分するのかを時間軸でとらえ、ソリューション型の不動産調査・鑑定を日々実践している。 趣味は、エアロビクス。大手スポーツクラブの特別会員となっており、時間があればあちらこちらのスタジオに出没しては、主に中上級者向けエアロビクスを楽しんでいる。来年は、競技エアロビクスにチャレンジしようと考えている。 [担当]物件調査 熊ヶ谷一幸は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。

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