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遵法性(建築基準法適合判定)のチェックポイント(2/2ページ)

熊ヶ谷一幸熊ヶ谷一幸

2016/08/01

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工作物(袖看板・屋上看板等)
オフィスビルなどでは、外壁の袖看板や屋上の広告塔などが設置されていることがありますが、これも一定の高さ以上は建築確認が必要な工作物に該当します。これらの工作物は、確認は取っていても完了検査は行っていない物件が大半です。通常の売買や融資ではあまり問題になりませんが、受益権化する場合やノンリコを付ける場合はほぼ間違いなく問題になります。 ほかにも挙げればいろいろあると思いますが、基本は、「図面と現況が一致しているか」です。図面と現況との違いを見落とさないようにすることが重要です。

ただし、研修でも触れられていましたが、一口に「図面」といっても、確認申請図、竣工図、どちらにも該当しない設計図面などいろいろあり、入手した図面が何の図面なのか、最終的な竣工時の状態を反映したものなのか、しっかり確認することが必要です。

証券化関係の評価では、法定点検の指摘事項やその是正の有無など、ERを踏まえてかなり詳細なレベルの遵法性確認が必要となりますが、通常の評価においても、最低限上記のポイントぐらいは確認するようにしたいものです。 建物の遵法性は追求していくと非常に細かく煩雑です。役所の裁量や解釈によって判断が分かれるグレーな部分も多く、鑑定士としては実査時にこの建物が違法か、という厳密な判断までは到底できません。 経験上言えることは、ピカピカの新築物件でない限り、不動産は多かれ少なかれ何か問題がある、ということです。 最も重要なのは、価格に影響するような大きな問題点や怪しい箇所について見逃さず、現地で「これは?」と思ったことは所有者に確認するなり、持ち帰って調べるなどして対応できる能力を持つことだと思います。

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この記事を書いた人

不動産鑑定士

株式会社東洋不動産研究所 代表取締役。1966年(昭和41年)生まれ。平成元年 慶応義塾大学法学部政治学科卒業。 学生時代はバトミントンなどのスポーツとアルバイトに没頭。不動産を生かすのは人間次第であり、個人生活・企業活動の成長は不動産のあり方・価値を極大化し、さらに個人生活・企業活動を成長させる、という不動産とのベストな付き合い方を提唱。どのタイミングで取得して処分するのかを時間軸でとらえ、ソリューション型の不動産調査・鑑定を日々実践している。 趣味は、エアロビクス。大手スポーツクラブの特別会員となっており、時間があればあちらこちらのスタジオに出没しては、主に中上級者向けエアロビクスを楽しんでいる。来年は、競技エアロビクスにチャレンジしようと考えている。 [担当]物件調査 熊ヶ谷一幸は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。

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