権利証に関するお話

権利証

世間一般では、「権利証」とよく言われておりますが、権利証は正式な名称ではありません。

正しくは「登記済証」です。登記実務では色々な登記がありますが、その中でも所有権を取得した際の登記済証ということになります。相続登記の際に、亡くなった方の権利証は必要ありませんか?と聞かれることがありますが、名義人の方がお亡くなりになった時点で、権利証としての効力はなくなっております。相続登記をすることで相続人の新しい権利証が出来上がります。

「権利証が見当たらないので再発行して下さい」ということもよく言われます。権利証は一度、法務局から発行されますといかなる事情でも再発行することはありません。では、紛失等した場合はどうしたらいいのでしょうか?権利証がない場合の手続きとして、2パターンあります。一つ目は、事前通知制度といって権利証を添付せずに登記申請しますと法務局から回答書が送付されますので、2週間以内に申出することにより登記が受理されます。この手続きは、期限内に回答書を送付できるかどうかという不確定な事由がありますので、一般的な不動産売買取引には採用できません。但し、身内(親子間・夫婦間)の贈与手続等には利用可能です。二つ目は、司法書士等の資格者による本人確認情報を提供することにより権利証がなくても登記が受理されます。これは司法書士が本人との直接面談し、紛失した経緯の聞き取りや、運転免許証等の公的な書面を確認することで、本人であることに相違ない旨を法務局に提供する方法です。この場合は司法書士に手数料が発生いたします。

権利証が盗まれた場合はどうしたらいいのでしょうか?

不正登記防止申出という制度があります。不正な登記がされる危険がある場合に、本人が法務局に出向いて申出することにより、3ケ月間だけですが、当該申請物件に登記が申請された場合、申出をした方に登記官が通知することにより防止することができます。但し、その申請が却下されるわけではないので、注意が必要です。盗難にあって警察に届けを出しているとか、ある程度の蓋然性も必要となります。

権利証と呼ばれるものの種類は?

現在3種類に分けることが出来ます。一つ目は従来通りの受付法務局、受付年月日、受付番号の判子が押してある書面です。二つ目は平成17年の不動産登記法改正により発行された12桁の英数字の組合せからなる記号、番号からなる登記識別情報通知(シール方式)というものです。平成27年頃から順次、ミシン目の入った登記識別情報通知(折込方式)が発行されております。

権利証(登記済証、登記識別情報)は所有権の内容を記載した書面にしか過ぎませんので所有権が登記されているかどうかが一番重要です。私はお客様から登記の依頼をうけて、完了後お渡しする時に登記事項証明書にお客様の名義が登記されていることを説明し、「仮に権利証が無くなったとしても登記がされているのでご安心ください」と力説してお引渡しております。

でも、やっぱり権利証は有った方が安心ですよね!

この記事のコラムニスト

岡田一夫
岡田一夫(司法書士・行政書士)
おかだ司法書士 / 行政書士事務所。同志社大学経済学部卒業後、平成4年司法書士試験合格、平成7年独立開業、平成8年行政書士資格取得。
不動産登記、商業登記等の登記業務を中心に、建設業、宅建業、運送業等の許認可業務も取り扱っております。多くの不動産賃貸経営者をクライアントとする税理士事務所の依頼により、相続に伴う財産・事業承継に数多の経験があります。最近では、経営者の高齢化に伴い、いわゆる家族信託スキームを利用した権利の保全・財産承継の業務が増加してきております。
登記業務はどの司法書士に依頼しても成果は同じですが、遺言、信託等の保全業務は「する」か、「しない」かで結果は全く異なります。他の士業と連携し、トータル的に国民の権利保護に寄与できればと考えています。
[担当]不動産登記
岡田一夫は個人間直接売買において決済完了後に登記手続きを行います。