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外国会社の登記について

岡田一夫岡田一夫

2016/12/05

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外国会社とは、外国の法令に準拠して設立された法人である。

外国会社が日本で継続的に取引をする場合は、外国会社の登記をする必要があり、登記が完了するまでに取引をした場合は、外国会社とその取引をしたものは連帯して弁済する責任を負い(会社法818条)、かつ過料(罰金)の制裁を受ける。(会社法979条)

裁判所は、利害関係人の申立により取引禁止又は営業所閉鎖を命ずることが出来る。 従って、外国会社が日本において継続的にマンション賃貸事業を行う場合、原則的には外国会社の登記をする必要があります。

外国の会社が日本において拠点を立ち上げる場合には主に下記の①~③が想定できます。

駐在事務所を設置するパターン
上記の規定に基づき外国会社の日本営業所を設置するパターン
外国会社が出資して日本支社設立するパターン
【駐在事務所を設置するパターンの問題点】
登記が不要で、容易にスタート出来るが、原則として営利活動はできない。

【外国会社の日本営業所を設置するパターンの問題点】
外国会社が日本において取引を継続してしようとするときは日本における代表者を定めなければならず、そのうち1人は日本に住所を有する者(外国人でもOK)でなければなりません。
添付書類として外国会社の資料をすべて翻訳し、本国の管轄官庁又は日本における領事その他権限がある官憲の認証が必要
(添付書類例)Ⅰ.本店の存在を認めるに足る書面 Ⅱ.日本における代表者の資格を証する書面 Ⅲ.外国会社の定款その他外国会社の性質を識別するに足りる書面
準備に相当時間がかかります。
日本国内の金融機関から融資が受けにくいことがあります。
【外国会社が出資して日本支社設立するパターンの問題点】
外国法人の登記簿謄本(翻訳付)、印鑑証明書(翻訳付)が必要
払込金保管証明書(資本金の振込)の関係上、発起人に1名日本人又は日本法人を加える必要がある。
日本国内の取引先から長期的な信用を得られ、金融機関からの融資が受けやすくなるメリットは有ります。
例外的に、④として日本人が出資して株式会社を設立し、設立後、株式を外国会社に譲渡するパターンでは、手続きが簡単でコストが安い。この場合は代表者が日本に住所を有する者でなければならないという制約はありません。 外国会社の営業所設置、日本支社設立には登記、社会保険、就労ビザ等が関係してきますので、専門職に相談してください。

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この記事を書いた人

司法書士・行政書士

おかだ司法書士 / 行政書士事務所。同志社大学経済学部卒業後、平成4年司法書士試験合格、平成7年独立開業、平成8年行政書士資格取得。 不動産登記、商業登記等の登記業務を中心に、建設業、宅建業、運送業等の許認可業務も取り扱っております。多くの不動産賃貸経営者をクライアントとする税理士事務所の依頼により、相続に伴う財産・事業承継に数多の経験があります。最近では、経営者の高齢化に伴い、いわゆる家族信託スキームを利用した権利の保全・財産承継の業務が増加してきております。 登記業務はどの司法書士に依頼しても成果は同じですが、遺言、信託等の保全業務は「する」か、「しない」かで結果は全く異なります。他の士業と連携し、トータル的に国民の権利保護に寄与できればと考えています。 [担当]不動産登記 岡田一夫は個人間直接売買において決済完了後に登記手続きを行います。

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