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発火事故が再び増加中 テーブルタップや延長コードなど「配線器具」の安全管理に要注意

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イメージ/©︎weerapat・123RF

配線器具の発火事故がまた増えている

「テレワークの広がりと定着によって、起こりやすくなっているのではないか?」

現在、そう推測されているのが、テーブルタップや延長コードなど電気配線器具による事故だ。発火~火災につながりやすい。

独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)がこの2月に公表したリリースによれば――

「16年から21年までの6年間に配線器具の発火事故は250件発生」

「16年から19年にかけて事故は減少していたものの、20年、21年は2年連続で増加」

「テレワークの増加、普及により、配線器具の使用が増えたことが関係していると推定される」

と、なっている。ちなみに、16~19年にかけての減少については、「トラッキング対策製品の普及による」とのこと。よってその後の事故の増加は、それら安全性の高い器具の使用が広がったうえでのこととなる。その分、事態は深刻であるということなのかもしれない。

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事故原因の多くを占めるテーブルタップ

NITEが取りまとめた、ここ6年の事故発生件数を挙げてみよう。(16年から21年に発生した配線器具の発火事故)

2016年 63件
2017年 62件
2018年 44件
2019年 23件
2020年 26件
2021年 32件
250件

次に、事故を起こした器具別の内訳を挙げてみる。

マルチタップ 8件
コードリール 11件
コンセント 19件
延長コード 58件
テーブルタップ 154件
250件

このとおり、テーブルタップの割合が約62%と大きい。次いで延長コード・約23%となるが、これらは壁のコンセントから離れた場所まで電源を移動させてくれる機能において(テーブルタップの場合増やしてもくれる)、たしかにテレワークでの利用が増えそうな器具といっていいだろう。

なお、上記のうちマルチタップについては、絵が頭に浮かばない人も多いかもしれない。NITEの区分けでは、コンセントに差し込み、その場で差込み口を増やす(多くは3つに増える)、コードを持たないタップのことを指す。対して、電源プラグから差込み口までがコードで結ばれた延長型のもので、差込み口が複数設けられているものがテーブルタップだ。

事故形態の「御三家」

次に、実際の事故の様子をまとめたデータを紹介しよう。上記、配線器具の火災事故250件のうち「使い方や設置状況が関係する事故96件」についての各状況となる。

「ほこり、水分の付着や液体などの浸入でトラッキング現象が生じ発火」
……計29件(死亡1件)

「電源プラグと刃受け間で接触不良による発火」
……計25件

「電源コードやコードプロテクターに外から力が加わり、断線してショート」
……計22件(死亡1件)

「最大消費電力を超える電気製品を接続して発火」
……計6件

「電源プラグ栓刃可動部に接触不良が生じて発火」
……計5件

「その他」
……計9件

このとおり、「トラッキング現象」「電源プラグと刃受け間での接触不良による発火」「断線」――3つの数字が特に目立つ結果となっている。

さらに、これら3つの実際例というとこうなる。

トラッキング現象…

例えば、コンセントやテーブルタップにつながれた電源プラグがホコリを被っていたり、あるいは知らぬうちに水がかかっていたりすることでトラック(電気の通り道)が発生、異常発熱し、発火。

電源プラグと刃受け間での接触不良による発火…

例えば、テーブルタップ上の電源プラグを踏みつけたり、コンセントからプラグを乱暴に引き抜いたりしたことで、プラグの金属部分(栓刃)が変形。差込み口内の金具(刃受け)との間で接触不良が起き、発火。

断線…

例えば、家具の移動や設置、人や椅子による踏みつけなどによって、電源コードに無理な力が加わり内部の芯線(銅線)が断裂。異常発熱するなどして発火。

なお、以上のうち「トラッキング現象や断線の言葉はよく聞くが、電源プラグと刃受け間での接触不良はあまり聞かない」という人も、もしかすると多いかもしれない。

それでも、見てのとおり事故件数は少なくない上、NITEのレポートによれば変形のみならず折損した(プラグの金属部分が折れた)という例もあるようだ。「そういうこともあるのだ」と、普段からぜひ意識しておきたいところだ。

呼びかけを! 狭い賃貸では「配線事故」のリスクがいっぱい

ところで、以上の「配線器具による発火事故」だが、賃貸住宅に住む人の多くや、物件を持つオーナーにとっては、身に迫るものといっていい。

なぜなら、家具の裏などに隠れたホコリの積もりやすいコンセントや、踏みつけに遭いやすい長い延長コード、定格容量をオーバーしたタコ足配線など、事故を招きやすい状態は、特に狭い単身用の賃貸住宅などではあたりまえのように見られるものだからだ。

賃貸住宅を借りて住む入居者も、貸すオーナーも、これらが思わぬ事故を招かないよう、普段からしっかりとその危険性を心得ておくようにしたい。

なお、ほとんどの賃貸住宅オーナーも管理会社も現在実行してはいないことだが、ぜひ勧めたいのは、この記事で紹介したようなリスクを管理する物件の入居者に定期的に広報することだ。

ホコリを被った電源プラグや、タコ足配線のせいでしょっちゅう熱を帯びているテーブルタップが、命の危険さえ招くものなのだということを知らない入居者も、世のなかにはたくさんいるためだ。

彼ら・彼女らのひとりでも多くがそうしたリスクに気付いて心配りするようになれば、事故の可能性が減るとともに、オーナーの資産からも、リスクがその分だけ遠ざかることになるだろう。

やることといえば、ちょっとした文面を紙1枚に仕上げて、これをコピーし、配るだけだ。コストのかからない「入居者Win・オーナーWin」のアクションをぜひ多くのオーナーや管理会社に実行してほしい。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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