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「賃貸」業界のイメージを下げる悪習? 「鍵交換費用」を入居者はなぜ払わされるのか(1/3ページ)

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イメージ/©︎flynt・123RF

えっ? 賃貸ってそんなことやってるの?

賃貸住宅への入居の際、「鍵交換費用」を入居者が払わされるのに納得がいかないとする声は多い。すべての物件ではないが、多くがこの鍵交換費用を設定し、支払いを入居条件のひとつとしている。鍵交換費用は入居者が負担すべきものなのか? それとも物件を貸すオーナーが本来負担すべきものなのか? この記事ではその答えを追ってみよう。

なお、その前に……

「答えを追うもなにも、それって設備の更新だろ? 商売道具のメンテナンスだろ? 客が鍵を壊したので弁償しろって話とは違うよね? なのに家賃とは別に費用を払えって……賃貸業界ではホントにそんなことやってんの? これまでやってきたの?」

あくまで一個人の声だが、一度も賃貸住宅に住んだことのないある人(住宅遍歴が実家――社員寮――社宅――持ち家)の感想だ。これはあたりまえの感覚なのか? それとも無知ゆえの暴言なのだろうか?

鍵の交換は入居者ニーズに沿ったサービス?

ところで、誰もが承知かもしれないが、まずは賃貸住宅の鍵が入居者が交代するごとに取り換えられる理由をおさえておきたい。

それは、当然ながら合鍵への警戒にある。賃貸住宅の入居者に、部屋の合鍵を作る人は少なくない。もっとも、それは別段悪いことでもおかしなことでもない。家族だったり、恋人だったり……合鍵を使って勝手に部屋に入ってもよい人を“設定”することは、入居者にとって基本的人権の行使に近いくらいに自由な、保証されるべき行動だ。

ところが、そんな個人の自由が別の人にとってはマイナスに作用する。仮に、自らがこれから入居しようとする部屋の鍵が、取り換えられておらず、以前と同じであったとしよう。それは誰にとっても「気持ちが悪い」ことであるにほかならない。前の入居者がいくつ合鍵をこしらえていたのか、それが誰に渡されているのか、通常は見当などつくものではないからだ。そのうえで、万が一、合鍵を持つなかに悪意の人物がいれば、その人物はこれからも意のままに当該住戸に侵入することができる。

すると、入居者側とすれば、思わずこんな気持ちにもなりかねない。

「とても不安です。私が費用を出しますから、オーナーさん、鍵を取り換えてくれませんか!」

おや……? とすると、やはり鍵交換費用を入居者に求めることは、必ずしもおかしなやり方とはいえないことになるのだろうか? あくまで入居者側のニーズに沿った、対価を求めるのに遠慮などいらないサービス――すなわち「有料でもよい」ということになるのだろうか?

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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