理由は偽装免震ゴムか、それとも?――30階建て・築15年のタワーマンションが解体へ(3/3ページ)
朝倉 継道
2021/07/19
博多港の岸壁そばに佇む当物件
ちなみに、当物件のロケーションだが、福岡市地下鉄空港線「大濠公園駅」徒歩8分(広告表示上)の立地にはあるものの、人が歩ける地面は当物件敷地の少し先で終わり、そのあとは博多港の海面となっている。つまり、建物は岸壁に迫る位置にある。
一方、南側、駅方向に向かっては、マンションを中心にほぼ住宅地化しているが、それでも物件東隣には製氷工場と冷蔵倉庫が建つなど、港湾物流エリア側から見てもその一部末端といえるのが当物件の位置だ。なお、南隣には地元でも有名なラブホテルが建っており、かなり広い敷地を構えている。
この、やや性格微妙なこの場所で、今後誰がどのようなプロジェクトを動かそうとしているのか。どんな将来の可能性がこの土地に見いだされているのか。誕生20年を待たず姿を消すタワーマンションへの鎮魂を祈るとともに、次の青写真が公にされるのをいまは待ちたいところだ。
この記事を書いた人
コミュニティみらい研究所 代表
小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。