徳島県(徳島市) 阿波の国のブランド地鶏に舌鼓 『骨付き阿波尾鶏 一鴻』と阿佐海岸鉄道のDMV
ねこやま大吉
2021/05/08
写真/ねこやま大吉
『鳴門秘帖』の舞台、阿波の国「徳島」 自然とロマン、そして伝統が交わる地
阿波の国「徳島」。吉野川、四国山地、紀伊水道をはじめとする自然を擁し、鳴門の渦潮、そして江戸時代から続く阿波踊りが有名だ。また、大衆文学の傑作である吉川英治の『鳴門秘帖』も、阿波の国が舞台だった。
自然と浪漫、そして伝統が渦潮のごとく交わるこの徳島で、阿佐海岸鉄道のDMV(デュアル・モード・ビークル)試乗会が行われるという。さっそく、有明(東京)から「フェリーしまんと」に乗り込み、徳島に向かった。
「クルマと列車のハイブリッド」 阿佐海岸鉄道のDMV
阿佐海岸鉄道のDMVは、公道を走るバスの床下から鉄道用の車軸を出し、鉄道の線路を走る世界初の乗り物。
鉄道モードは「阿波海南駅」(徳島)~「甲浦駅」(高知)までの約10km。バスモードは「阿波海南文化村」~「阿波海南駅」、「甲浦駅」~「道の駅 宍喰温泉」まで、実際の街中を走行する。これにより地域の公共交通を、より便利に効率的にするという。もちろん、徳島県の新たな観光資源として地域活性化につなげるという狙いもある。コロナ禍ということもあり、当初の計画から遅れているようだが、本年の夏前を目処に運行を開始する予定だという。
今回はバスモードでの移動だったため、風・動物・児童注意の標識をよく目にしたが、なかでも驚いたのは「お遍路さん注意」の標識だ。なるほど、注意しなければならないほどお遍路さんがいるのかと感心してしまった。
旨味成分たっぷり 徳島のブランド地鶏 「阿波尾鶏」
阿佐海岸鉄道の取材が終わった安堵からか、猛烈に腹が減ってきた。この徳島で今宵はいったい何を食べるか……。徳島のブランド地鶏がふと頭をよぎった。
その地鶏の名は阿波尾鶏。自然の中で育てられた鶏は、気性は荒いが環境変化にも強く健康であるという。その肉の色は赤みを帯び、旨味となるアスパラギン酸、グルタミン酸を多く含んでいる。そんな贅沢な地鶏を食したく、徳島駅近くの『一鴻』という店の暖簾をくぐった。
秘伝スパイスで味付け 400℃の特注釜で焼き上げる
オープンキッチンの店内はどこの席からでも料理人の技を眺めることができる。
メニューを開けばまさに徳島尽くし。まずは渇ききった喉を潤す「酢橘サワー」を注文。18時間に及ぶフェリーの旅と取材で疲れたアタマと体に強烈な酢橘が染み渡る。一気に五感が蘇った。
「名物骨付き阿波尾鶏」は注文しなければならない一品。秘伝の17種のスパイスで味付けした骨付きももを400℃の特注釜で焼きあげる。
豪快なもも肉を鋏で切れ目を入れながら口に運べば、外はカリッと、中はジューシーで独特な噛みごたえを感じることができる。これが「阿波尾鶏」か!
間髪入れず「せせり」を。絶妙な焼き加減のせせりは噛めば噛むほど肉汁が溢れ広がる。皿に盛り付けてあるその量の多さにはびっくりさせられる。
「和田島の釜揚げちりめん」もいい。
ふっくらと茹で上がったしらすは、一尾一尾、それぞれの自己主張を伝えてくる。潮の香りと甘みがどこまでも広がる……。
勘定を済まして店を出る。
少し酔っているからだろうか。脳内に自動再生された阿波踊りの熱狂と喧騒が、心なしか私のステップを軽くした。
今回お邪魔したおいしいお店:『骨付き阿波尾鶏 一鴻 徳島駅前店』
住所:徳島県徳島市寺島本町東3-12-8
交通:徳島駅から徒歩2分
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この記事を書いた人
編集者・ライター
長年出版業界に従事し、グルメからファッション、ペットまで幅広いジャンルの雑誌を手掛ける。全国地域活性事業の一環でご当地グルメを発掘中。趣味は街ネタ散歩とご当地食べ歩き。現在、猫の快適部屋を目指し日々こつこつ猫部屋を制作。mono MAGAZINE webにてキッチン家電取材中。https://www.monomagazine.com/author/w-31nekoyama/