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今日もどこかの街で美食探訪 ねこやま大吉のグルメ狩人

中区錦(名古屋市)  赤味噌おでんとワインのマリアージュ ワインを知り尽くしたソムリエが営む和風バル 『カモシヤ』

ねこやま大吉ねこやま大吉

2020/01/05

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「日本屈指の醸造元」がある東海エリア

赤味噌を代表に東海地方は、味噌・醤油・酒・みりんなどの醸造元が集中する名産地である。米・麦・豆などの原材料を基に、酵母を使ってまっ たく別の調味料を“醸し出す”、旨味成分凝縮生産エリアなのだ。そう考えると名古屋めしには必ず醸し調味料が料理に関わっていることに気付く。名古屋めしは地元文化で育った地域限定のメニューが多いのも魅力。今宵はどんな美味しいものに出合うのか。

杉玉が合図『おでん&ワイン カモシヤ』

栄の地下街を歩き倒し、喉もそろそろ乾き気味になったころ、一番近い階段を駆け上がり地上に戻った瞬間、目に飛び込んできた「杉玉」。いい塩梅に深い焦げ茶色になっていて喉を潤すシグナルのようだ。店の暖簾が風に靡かれ、まるで手招きされているかのように『おでん&ワイン カモシヤ』へと自然に吸いこまれた。

店名のカモシヤは前述の「醸し出すの“醸し”」 からとスタッフに聞いた。ワインを熟知したソムリエがワインと合う赤味噌おでんを追求し、満を持して開店させたとのこと。カウンターに鎮座する味噌おでんの鍋。この鍋に一番近いカウンター席に陣取る。

食欲を掻き立てる鍋の「種」は、すし詰め状態で客からの「指名」を待っている。まずは生麦酒で喉を落ち着かせる。次におすすめの福煮でスタート。鍋の中でちょっと煮崩れした種を集め、何が入っているかを楽しみながら食することができる。なかでも出汁がたっぷりとしみ込んだすじ肉は、甘辛さが口の中でじわりと広がる(これは当たりだ!)。味噌煮なのに塩気がまるで感じられないのはなぜだろうか。

店内に客が押し寄せる。種が無くなる前に急ぎ 注文をしなければ。

出汁は、赤味噌としじみ出汁がベース

2杯目はコトー・ブルニギヨン白グラス。おでんとワインがここまで合うのは名古屋以外にはないのではないだろうか......。

たまご・大根・ごぼう天・トマト、どの種も出汁と相性がいい。特にトマトだ。皮を剥き、まるごと1個を30分間鍋に沈める。湯上りの“それ”は美しいほどの芸術品だ。トマトの酸味と味噌の香りがすっと鼻から抜けていく。この絶妙な逸品に箸が止まらない。ちなみにおでんの出汁は、赤味噌としじみ出汁で作っているとのこと。なるほど......旨いわけだ。

〆はニュートン・スカイサイドグラス白と牛タン煮込みで。極限まで煮込まれた牛タンにデミグラス 味噌ソースを添えたこの一品。牛タンの素材はそのままに濃厚な旨味あるソースが特別感を“醸し出す”。口の中を辛めの白ワインで味覚をリセットさせながら一口一口味わう。味噌おでんは麦酒・酒よりワインがいいかもしれない。

栄の地上に出て最初に見た杉玉で入ったカモシヤ。金色に輝く金鯱のように当たり玉だっ た。味噌おでん......かの家康公も口にしていたのだろうかと想い、ひとり店を出た。

今回お邪魔した美味しいお店:『おでん&ワイン カモシヤ』
住 所:名古屋市中区錦3-16-8 森万ビル1F
交通:地下鉄栄駅 徒歩1分

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この記事を書いた人

編集者・ライター

長年出版業界に従事し、グルメからファッション、ペットまで幅広いジャンルの雑誌を手掛ける。全国地域活性事業の一環でご当地グルメを発掘中。趣味は街ネタ散歩とご当地食べ歩き。現在、猫の快適部屋を目指し日々こつこつ猫部屋を制作。mono MAGAZINE webにてキッチン家電取材中。https://www.monomagazine.com/author/w-31nekoyama/

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