『映画ドラえもん のび太の新恐竜』/絆、泣かせ、友情、冒険…ドラえもんシリーズの鉄板娯楽作(1/2ページ)
兵頭頼明
2020/08/01
©︎藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2020
割引、フリーパスポート、クーポン……今、映画館はお得がいっぱい
緊急事態宣言後の約2カ月の間、全国の映画館は営業を自粛していた。6月初旬の本格的な営業再開後も、座席数は約半分に制限され、観客の映画館離れも回復していない。
映画館サイドは観客を呼び戻すために様々なキャンペーンを行った。
TOHOシネマズは6月19日から30日までの期間、同社シネマイレージ会員の料金を1,200円とした。テアトルシネマグループ(TCG)は6月5日から7月いっぱい、同社TCGメンバーズカード会員の料金を1,100円に設定。このキャンペーンは好評で、TCGは実施期間を8月いっぱいに延長した。
イオンシネマは7月3日から31日まで、2,500円で一日映画見放題というワンデーフリーパスポートを発売。このチケットは対象ソフトドリンク飲み放題という嬉しいおまけ付きであった。
松竹マルチプレックスシアターズ(SMT)は6月、7月に特化したキャンペーンを行わなかったが、SMT Members会員は有料鑑賞1回で次回使える鑑賞クーポンがもらえる。そのクーポンは鑑賞翌日から60日間有効で、窓口購入1,300円、インターネット購入ならば1,200円。つまり、60日以内に再び映画を見るということを繰り返せば、常に1,200円で映画が観られるという寸法だ。
問題は、番組編成。各館ともミニシアターで評判となった作品を拡大公開したり、滅多に映画館で観ることのできないジブリの旧作を上映したりでしのいできたが、稼ぎ時の夏休み興行には目玉作品が必要だ。
しかし、6月初旬の本格的な営業再開後も、大手配給会社は話題性の高い大作の公開を控えている。特にアメリカの主要メジャー系配給会社は大作の公開を中止し、来年に延期しているというのが現状である。座席数を半分に制限されている状態、しかも観客の映画館離れが回復していない状態では、勝負を賭けた大作の公開はできないという判断だ。
36年ぶりの続編となるトム・クルーズ主演『トップガン マーヴェリック』は今年7月の公開予定が12月に変更され、さらに来年7月公開に延期された。ディズニーの話題作『ムーラン』の公開は無期限延期となっている。
この記事を書いた人
映画評論家
1961年、宮崎県出身。早稲田大学政経学部卒業後、ニッポン放送に入社。日本映画ペンクラブ会員。2006年から映画専門誌『日本映画navi』(産経新聞出版)にコラム「兵頭頼明のこだわり指定席」を連載中。