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『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

ハラハラ、ドキドキ、往年のハリウッド、スター映画を楽しめる娯楽作(2/2ページ)

兵頭頼明兵頭頼明

2018/07/31

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トム・クルーズは往年のハリウッド映画らしい「スター映画」の最後の作り手である。映画界華やかなりし頃、ハリウッド映画は自社専属のスターをいかに輝かせるかに心を砕いて製作されていたが、現在は映画会社専属のスターは存在せず、まずは企画ありきで製作されている。そんな中、セルフ・プロデュース能力に長けたクルーズは外部から持ち込まれる企画を吟味する一方で、『M:I』シリーズ、『ラスト サムライ』、『アウトロー』シリーズ等の主演作品を自らプロデュースしている。
近年のクルーズのプロデュース作品がすべて優れた「スター映画」となっているのは、彼がスターとしての自分を輝かせるため、そして作品の質を高めるために、進んでリスクを負っているからである。『M:I』シリーズでは毎回危険なスタントシーンに挑戦している。最近のアクション映画はCGばかりでつまらないが、本作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』には手に汗握るアクションシーンが用意されている。彼の本物志向がCG慣れした観客を驚かせ、楽しませてくれるのである。

また、彼は『M:I』シリーズの監督を一作ごとに交代させてきた。毎回、個性豊かな監督を起用し、異なるテイストの『M:I』を作りだしてきたのだが、今回初めて前作と同じ監督クリストファー・マッカリーを続投させている。二人の監督・主演コンビ作は3本で、他に脚本やプロデュース協力作が4本ある。このことから、トムがいかに彼の力量を評価しているかがわかる。マッカリーはクルーズの期待に応え、シリーズ総決算とも言うべき作品に仕立て上げた。脚本家出身の監督だけあって、ストーリー展開が巧みである。シリーズをリセットしたとはいえ、おなじみのテーマ曲に乗せたオープニングタイトルをはじめ、テレビシリーズのファンへの目配せも忘れない。
トム・クルーズの生身のアクションと二転三転するストーリーテリングを同時に堪能できる上質の「スター映画」である。

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
監督・製作・脚本:クリストファー・マッカリー
出演:トム・クルーズ/サイモン・ペッグ/ヴィング・レイムス/レベッカ・ファーガソン/アレック・ボールドウィン/ミシェル・モナハン/ヘンリー・カヴィル/ヴァネッサ・カービー/ショーン・ハリス/アンジェラ・バセットほか
配給:東和ピクチャーズ
公式サイト:http://missionimpossible.jp/
公式Facebook:https://www.facebook.com/missionimpossibleJPN/
公式Twitter:https://twitter.com/mimovie_jp

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この記事を書いた人

映画評論家

1961年、宮崎県出身。早稲田大学政経学部卒業後、ニッポン放送に入社。日本映画ペンクラブ会員。2006年から映画専門誌『日本映画navi』(産経新聞出版)にコラム「兵頭頼明のこだわり指定席」を連載中。

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