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お客さんには絶対見せない! 知らないと損する不動産業界の4つの仕組み

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<仕組み1>不動産会社は仲介手数料で儲けている


不動産を売ったり買ったりする際、売り主と買い主は、不動産仲介会社に仲介手数料(売買契約が成立したときに発生する成功報酬)を支払います。

仲介手数料がどれくらいかかるのか気になるところですが、仲介手数料の額については、宅建業法で「上限」(物件価格の3%+6万円)が決められています。そのため、その上限を超えなければいくらでもいいというのが本来のルールと言えます。

不動産会社にとって、仲介手数料は利益の源泉ですから、少しでも多くの手数料を受け取りたいと考えるのは当然のことでしょう。

ですが、これまでにも別の記事で触れてきたように、不動産業界には独特の文化があり、お客さんの利益を損ねてでも自社の利益を最大化しようとする不動産会社があることも事実です。

そこで今回は、不動産会社がお客さんには見せない売買取引の裏側と、一般の人が不動産の売買で損しないために知っておくべき仕組みについてご説明します。

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<仕組み2>不動産には「3つの価格」がある

まず、不動産の価格についてご説明しましょう。不動産には3つの価格があるのをご存知でしょうか?

それが、「査定価格」「売り出し価格」「成約価格」の3つです。

家や土地を売ったり買ったりする不動産の売買取引は、売り主と買い主を不動産仲介会社がマッチングすることで成立します。

家の売却を考えた人(売り主)は、まず不動産会社に査定を依頼します。そして依頼を受けた不動産会社が出すのが、物件の「査定価格」です。「査定価格」とは、付近の相場やほかの物件の売買価格などをもとに算出する、「このぐらいの価格で売れそう」という予測の価格のことを指します。

不動産の価格のふたつ目は、実際に家を売りに出すときの価格である「売り出し価格」です。「査定額」を参考に、不動産会社のアドバイスを受けながら、売り主が「この価格で売りたい」という希望額として出すのが「売り出し価格」になります。

そして、実際に買い主との間で成約した価格が「成約価格」です。

売り主としては、「売り出し価格」=「成約価格」となるのが理想ですが、実際には成約価格が売り出し価格を下回ってしまうケースが多いようです。

なぜそうなってしまうのかといえば、まず、売り主が少しでも高く売りたいと考えて、高めの売り出し価格をつけてしまうことが考えられます。しかし、それ以上に重要なのは、不動産会社がわざと高めの値づけをするケースがあるということです。

<仕組み3>不動産会社はわざと高めの査定額を出す

一般的に、家を売る人は複数の不動産会社に査定を依頼し、そのなかから売却を依頼する会社を選んで売買契約の仲介を依頼します。その際に、売り主と不動産会社の間で結ぶ契約が「媒介契約」です(媒介契約には3つの種類がありますが、それについては後述します)。

少しでも高く売りたいと考える売り主は、最も高い査定価格を出してきた不動産会社を選んでしまいがちなのですが、そうした売り主の心理を利用して、媒介契約を取るために不動産会社がわざと相場より高めの査定価格を出してくるケースがあるのです。

高めの査定価格を出した手前、売り出し価格をそこから大きく引き下げるわけにはいきません。しかし、それが市場価格とかけ離れていれば、買い手は見つからないというのは、誰もがわかることでしょう。ですが、不動産業界には、売り主をうまく誘導して、売り出し価格を引き下げる仕組みがあります。

それが、不動産業界の三大悪弊とも言われる「干す」「値こなし」「囲い込み」という行為です。

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<仕組み4>不動産会社は売り主に値下げを認めさせる仕組み

「干す」とは、媒介契約を結んで預かった売り物件を、ろくな販売活動もせずに、中古不動市場で“干す”(放っておく)ことを言います。

具体的には、不動産ポータルサイトに物件情報を掲載しなかったり、レインズに登録しても「広告不可」にしてしまったりする行為です。

広告不可とは、たとえば「近所の人に家を売ることを知られたくない」という売り主の希望があった場合に広告が出ないようにするのが本来の目的なのです。

ですが、物件を預かっている不動産会社が販売活動を独占するため、他社に広告を出させないようにする目的で、売り主の意思とは無関係に広告不可としてしまうケースもあり、これは売り主にとっては大きな機会損失です。

一定期間、干した後に行なわれるのが「値こなし」です。値こなしとは、「この値段では売れないので売り出し価格を下げましょう」といって値下げをさせることを言います。

相場より高い売り出し価格が、相場水準まで下がれば、当然、買い手からの問い合わせが入ってきます。そこで行なわれるのが「囲い込み」です。「囲い込み」とは、ほかの不動産会社からの問い合わせを「すでに商談中です」とか「もう成約するところです」と言ってシャットアウトしてしまうことです。

なぜそんなことをするのかと言えば、囲い込みをしている間に、自社で買い主を見つけてきて、「両手取引」を成立させるためです。

「両手取引」とは、預かった売却物件の買い主を自社で見つけてきて、売り主と買い主のそれぞれから仲介手数料を受け取る取引です。他社が買い主を連れてきた場合には、「片手取引」といって仲介手数料は売り主からのみ受け取ることになります。

つまり、不動産会社は「両手取引」を成立させて、ダブルで仲介手数料を受け取ることを狙っているのです。

(関連記事)
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売り主にとって大きな損失になる「囲い込み」

「両手取引」は宅建業法で禁止されているものではなく、違法行為ではありません。仮に、他社が連れてくる買い主よりも、高く買ってくれる買い主を見つけられるのであれば、「両手取引」であっても売り主の利益が損なわれることはなく、何の問題もありません。

ですが、少しでも高く売りたい売り主と、少しでも安く買いたい買い主の利益は多くの場合は一致せず、双方代理の要素がある両手取引には倫理的な問題があると言えるでしょう。

「両手取引」よりも問題なのは「囲い込み」です。「囲い込み」は違法性の高い禁止行為なのですが、一部の不動産会社の間では、いまだに横行しているようです。

「囲い込み」にあってしまえば、売り主は経済的に大きな損失を被ることになってしまいます。そのようなことにならないため、売り主はどのように対処していけばいいのでしょうか。

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「囲い込み」を防ぐための具体策

「囲い込み」に遭うのを防ぐ具体策として、次のようなものが考えられます。

(1)業界の仕組みを理解すること
ここでご説明したような、不動産業界独特の仕組みを知っておくことが大切です。そして、不動産会社や営業マンを選ぶ際には、その考え方をしっかり聞いて、信頼できる相手をパートナーを選ぶことです。

その上で、「囲い込み」を始めとする業界の仕組みについて知っていることを相手に見せましょう。

(2)媒介契約は慎重に選択する
不動産会社との間で結ぶ「媒介契約」には、「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があります(図表1)。


(図表1)媒介契約には3種類がある

「専任媒介」と「専属専任媒介」の場合、1社に仲介を任せることになるため、「囲い込み」に遭いやすいと言えるでしょう。しかも、「専属専任媒介」では売り主自らが買い主を探すことさえできません。

「囲い込み」を避けたいのであれば、「一般媒介」を選択することが有効です。「一般媒介」で複数の不動産会社に競争をさせることで、売り主にとって条件のよい買い主を見つけることも可能になります。

ただし、「一般媒介」の場合は、レインズへ物件情報を登録する義務がありません。また、販売活動について売り主へ報告する義務もないので、売り主が積極的に不動産会社に働きかける必要があるでしょう。

また、不動産会社からしてみれば、仲介手数料は成果報酬なので、真剣に販売活動を行なっても報酬がゼロに終わることもあります。そのため、ほかに物件を多く抱えている大手不動産会社などは、あまり真剣に取り組んでくれない可能性が高くなります。

そのため、時間的な制約などから、あまり自分から働きかけることができない場合には、「専任媒介」を選択して、「囲い込み」などの行為があった場合には、すぐに契約を解除することです。媒介契約を結ぶ際には念のために、売り主から申し出れば、契約期間内でも契約を解除できることを確認しておきましょう。

(3)販売活動を自分自身でチェックする
「専任媒介」であれば、2週間に1度、販売活動について売り主に報告する義務がありますので、販売活動についてしっかりチェックをしましょう。

また、不動産ポータルサイトなどに広告が出されているか、自分で検索して確認することも大切です。掲載されていない場合には、営業担当者にその理由を確認してみましょう。

レインズへの登録については、売り主が自分の物件の掲載状況を見ることができるので、必ず確認するようにしてください。

もちろん、すべての不動産会社が、売り主の利益を顧みないわけではありません。ただ、不動産業界内には長年、「囲い込み」に代表されるお客さんにとって不利益ともなる慣習が根強く残っているのも事実です。

不動産の売買は、人生においてそう何度も経験するものではない上に、大きなお金が動く一大イベントです。不動産会社に任せておけば大丈夫と安易に考えるのではなく、自分で自分の資産を守るという意識を持って積極的に行動するようにしてください。

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この記事を書いた人

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