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分譲賃貸とは? 高品質・充実仕様の「持ち家」を借りて住むメリットと注意点(2/2ページ)

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その会社は物件とオーナーのことをちゃんと知っている?

ルールが複雑になりやすいということは、すなわち何を意味するのか?

仲介が非常に大事になってくるということだ。分譲賃貸では、仲介会社(不動産会社)は、そのマンション全体のルールやオーナーが独自に決めたルールを正確に把握し、それを入居希望者へ正しく知らしめ、理解の齟齬が起きないように万全を期さなければならない。

しかも、分譲賃貸の貸し手となりやすい「転勤大家」さんや「相続大家」さん、あるいは親の介護のため一時故郷へ引っ越すため部屋を空ける「介護大家」さんなど、彼らの多くは不動産について素人だ。さほど心構えもないまま、賃貸住宅の経営者になってしまう例が多い。

そこで、そんなオーナーと一般消費者である入居者を結びつけるにおいて、仲介会社は、そのマンションのこと、オーナーの意思、それぞれをくまなく理解しておく必要があるということだ。 

逆にいえば、入居者側としては、その辺りの説明が頼りない会社には注意をした方がいい。加えて、マンションの規約・細則について、契約前に自ら目を通しておくことも大切だ。

住み始めてからのお世話は誰がしてくれる?

転勤大家さんのなかには、赴任先が海外といった例も当然ありうる。

また、転勤大家でなくとも、通常、オーナーが物件の近くに住んでいるケースが少ないのが分譲賃貸だ。「この部屋の貸主はこの辺の地主さんですから」が、分譲賃貸では一般の賃貸に比べて生じにくい。

そのうえで、前記のとおりオーナーが“素人”の場合が重なるなどすると、いざというときのトラブル対応がどうしても手薄になりやすい。 

なおかつ、分譲賃貸では、トラブルの種類によってはマンション管理組合や管理会社(マンション全体の管理会社)との調整も必要になるなど、対応が複雑化する可能性も無くはない。

そこで、分譲賃貸を他人に貸すにあたっては、オーナーは、自らの腕に自信がない限り、分譲賃貸に強い管理会社(こちらは賃貸物件を管理する方の管理会社)に、物件の管理をサポートしてもらうのが安心だ。 

つまり、これを逆にいうと、入居者側としてはそうした会社がきちんと間に入っている物件の方がより安心ということになる。あるいは、オーナーが分譲賃貸の経営に慣れた投資家であるなど、エキスパートであるかどうかだ。

なので、分譲賃貸に安心して住むためには、入居希望者は、事前に根掘り葉掘りオーナー側の事情を尋ねた方がいい。

オーナーがその物件を貸し出すに至った経緯や、誰が管理(=入居者の世話)をしてくれるのか、それらを明確に把握したうえで、状況が頼りないようであれば、その部屋を借りるべきなのか、それなりの判断も必要になってくる。

ちなみに、想像すればわかることだが、転勤大家さんのような立場だと、その部屋にはあとで自分が住むことになる。よって、他人に貸している間、部屋がどう使われるのか、神経質にならざるをえないのが当然だ。

そこで、本人が何も知らない素人だと、契約満了時、国のガイドライン等の基準も踏まえず、過剰な原状回復費用を入居者に求めるなどしかねない。 

そんな想定においても、法令等を熟知した存在が間に立つことはとても重要になってくるわけだ。 

マイホーム仕様ではない分譲賃貸もある?

最後に付け加えよう。

この記事では、初めに分譲賃貸の一般的な定義を紹介した。「マイホーム用として買主の自己使用を目的に売買された分譲マンションの部屋が、何らかの事情により賃貸物件として貸し出されているものをいう」――だ。 

しかしながら、実際にはそうでないものも分譲賃貸を名乗ったり、そう呼ばれたりしている。ぜひ知っておきたい。

それは、いわゆる投資用分譲マンション、あるいは投資用区分マンションと呼ばれている物件だ。買主が住むためでなく、初めから投資用として建てられ、住戸単位で投資家に分譲される。間取りはワンルームなど単身者向けが中心だ。多くは比較的グレードの高い賃貸マンションとして建てられる。

これらは、まさに当初「分譲」されるので、言葉としては分譲賃貸でも間違いない。だが、「買主のマイホーム用」「一生の棲家としての使用が想定された物件」といったくくりからは外れることになる。 

すると、「その品質や性能は?」と、当然気になって来るが、答えは単純ではない。

品質や性能をある程度犠牲にして投資効率を追求した建物なのか、あるいはそうでなく、本来の分譲賃貸に迫る贅沢な造りを実現できているものなのか? 実態は物件それぞれということになる。 

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この記事を書いた人

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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