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子どもを危ない建物に住まわせるな 「築年月」を気にするべき一番重要な理由 (2/4ページ)

朝倉 継道朝倉 継道

2021/07/16

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過去の地震で分かった耐震基準による明暗

では、耐震基準の「旧」と「新」、さらには木造における「2000年基準」との間には、どれほどの性能の違いがあるのだろうか。このうち「旧」と「新」の差が、95年の「阪神・淡路大震災」での建物被害でまずは顕著に表れた。

同震災では、建物や家具の下敷きになっての窒息または圧迫によるものと見られる死者が、約4000人から5000人近い規模で発生しているが(調査・集計によって数字が異なる)、これらのうち多くの割合を旧耐震基準で建てられた住宅に住んでいた人が占めると見られている。

さらに、16年の熊本地震では、「旧」「新」「2000年」3つの基準による家々が混在して建つ地域が、震度7の激しい直下型の揺れに襲われたことにより、耐震基準の違いが明暗を分けた実態がより鮮明となっている。

表:熊本地震における建築物被害

出典/国土交通省・国土技術政策総合研究所「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書」

このとおり、旧耐震基準(調査報告上の正しい括りは「建築時期が1981年5月以前の建物」)での倒壊・崩壊率と、00年基準の「無被害」率が際立っている。改めて、耐震基準に注目することの重要性が示された格好だ。

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この記事を書いた人

コミュニティみらい研究所 代表

小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。

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