家賃の安さが魅力 「駅遠物件」を探すとき気を付けておきたいこと(2/3ページ)
朝倉 継道
2021/06/21
広告には「徒歩20分」とあっても1~2割増しは覚悟
次は、ネガティブな話になる。駅遠物件を探すプロセスで、特に気を付けておくべきことを伝えたい。
それは、「物件広告に載っている駅徒歩分数が大抵あてにならない」ということだ。物件が駅から遠ざかれば遠ざかるほど、その傾向が増すことを知っておいてほしい。
なぜなのか? それは、不動産広告における「駅徒歩分数」が、地図上の道路距離によって決められることによる。(道路距離80m=1分・端数は切り上げる~「不動産の表示に関する公正競争規約」)
想像してみてほしい。街中やその郊外では、人が歩く道路にあっては、進めば進むほど車道を渡る回数が増えていく。
すなわち、付随して横断歩道が増える。さらには信号も増えるというわけだ。
なので、徒歩分数20分程度が広告に示されているような距離だと、大抵、幾度かは途中で信号待ちをすることになる。
場合によっては、踏切や歩道橋、地下道、広い車道を跨いでの横断歩道への迂回といったものにもひっかかる。
そのたび、タイムロスが生じ、たとえば広告では徒歩18分と表示されているものが、現実には「20分を切ることなんてほとんどない。ヘタすりゃもっとかかる」といったケースがあり得るわけだ。
なお、広い道路や線路などに突き当たっての、横断歩道や歩道橋、踏切などへの迂回経路については、広告上、正しくは道路距離に加えなければならない。
だが、そうせずにサバ読みしている例も、残念ながらよく見られる。
坂も徒歩分数には考慮されない
同様に、駅遠物件で「こんなはずでは……」が起きる原因のひとつが、坂の存在だ。
物件探しにおける意外な落とし穴「坂道」 写真はイメージ/©︎123wawa・123RF
先ほども述べたとおり、不動産広告における駅徒歩分数は、地図上の道路距離換算で決められる。すると、地図は立体ではない。当然まっ平だ。坂は考慮されない。
そのうえで、「坂」もまた、エリアによっては信号などと同様、物件が駅から遠くなればなるほど、途中に存在する可能性が高まってくることに注意が必要だ。
駅遠物件では、自転車が日常生活に必須なことも多いが、坂はその際に大きな障害ともなる。
この記事を書いた人
コミュニティみらい研究所 代表
小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。