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賃貸借契約における敷金とクリーニング特約のいびつな関係性と内見数減少が示すいまどきの部屋探し (2/2ページ)

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内見数減少 部屋探しはネットで決め打ちの時代?

もう一つ、賃貸契約者動向調査で注目したいのが「見学した物件数」という項目。つまり、いま住んでいる物件を選ぶ際(入居時期:19年4月~20年3月)に内見した物件の数に関する調査だ。その傾向としては「減少傾向が続き、19年度は平均2.7件で過去最少」としている。

ちなみに2005年度における内見数は4.9件、10年度は3.9件、17年度には3件を切り、2.9件となっている。このように入居希望者による内見の数は年々少なくなる傾向は、近年の常識となっている。

その要因は何なのか。 

「ネット経由で物件を決め打ちで探す人は確かに多くなっています。賃貸物件のサイトは進化を続け、部屋の中を360°見渡せるものや動画を組み込んでいるサイトもあります。最初に部屋のイメージを理解したうえで内見しているから、結果、成約率も高くなるのです。それと、あくまで感覚的なものですが、昔に比べて部屋に対して拘りがある人が少なくなっているように感じます。こういったことも内見数が少なくなっている要因ではないでしょうか」(同・業界関係者)

しかし、現場では違った風景が見られることがままある。仲介会社は、一旦コンタクトしてくれた入居希望者をなるべく他店には行かせたくない。とにかく「ウチで決めてほしい」という、ある意味健全な営業心理が働くからだ。

そのため熱心な会社は、問い合わせの対象物件がたとえ1つであったとしても、類似の物件をいくつもピックアップして入居希望者を迎える。そして入居希望者の持ち時間の許す限り、3件、4件、5件と“ツアー”を組んで案内する。

逆にそうせず、問い合わせ対象物件の1つや2つだけを見せた結果、気に入ってもらえず「サヨウナラ」だと、その客はすぐさまライバルにもっていかれる。

仲介会社も競争が激しい。たくさんの物件を見せて客を囲い込む、熱心かつ必死な会社が減っているようには思えない。しかし、この熱心さが、いまどきのスマートな入居希望者には余計な手間に映り、拒まれる理由となっているのかもしれない。

「最近では入居希望者に直接鍵を渡し、さらに店舗から物件までのタクシー代を負担してセルフ内見を促す会社もあると聞きます。入居希望者からすると、ひとりでじっくり内見したいというニーズがあるのも理解できます。とくに女性は初めて会う人と一緒のクルマにのって連れ回されるのを嫌がりますからね」(同・業界関係者)

一方、オーナーにとっては、「ウチで決めてやる」という熱心な仲介・管理会社をパートナーに選ぶのは心強く思える。しかし、かような内見数減少の流れを考えると、営業力だけでカバーできる時代は終焉を迎えつつあるのかもしれない。 

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