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同じ物件での部屋の移動 定期借家契約の解約――家主から出された条件は?(3/3ページ)

大谷 昭二大谷 昭二

2020/08/27

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高齢の親の介護で定期借家契約の戸建て住宅の契約解除は可能でしょうか?

Q.定期借家契約で一戸建ての借家(延べ面積250平方メートル)を借りていたのですが、高齢の親が倒れて寝たきり状態になってしまいました。その介護のため、急きょ、実家に帰らざるを得なくなり、家主に契約解除をおねがいしたのですが、「定期借家契約なので途中解約はできない。どうしてもというのなら、契約期間終了までの家賃を支払ってから退去してくれ」と言われました。支払いに応じなくてはいけないのですか?

A.一般の定期借家契約(床面積が200平方メートル未満)なら、「親族の介助」が理由で、借りている物件に住めなくなった場合は、借主の途中解約を認めています。ところが、200平方メートル以上の物件の場合には、解約権が認められていません。

一般的に考えても、借家で200平方メートル以上というのは、非常にまれなケースで、そういう物件は、かなり高額な家賃であることが予想されます。また、住んでいる人も大勢という可能性もあります。

借地借家法で規定している「転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情」であったとしても、法律で規定しているところの「自己の生活の本拠として使用することが困難」なのは、住んでいる人の一部だけだと考えられます。そこでこのように広い物件を定期借家契約で借りている場合は、借主の途中解約権を認める必要性は少ないということから、床面積の制限が設けられたのではないかと考えられます。

いずれにしても、家主の主張は法的に正しいものですので、その点を念頭において減額してもらえるような妥協点を探る話し合いをしてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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