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被災による所得税の軽減措置

具体的な手続きとポイント(2/2ページ)

平野 敦之平野 敦之

2019/02/20

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■災害減免法

災害によって受けた住宅や家財の損害額(保険金などでカバーされる金額は除外)がその時価の2分の1以上、かつ災害にあった年の所得金額の合計額が1,000万円以下の場合に適用されるのが災害減免法です。

具体的には次の金額が軽減あるいは免除されます。

災害減免法により軽減又は免除される所得税の額の表

■雑損控除と災害減免法の選び方のポイント

雑損控除と災害減免法は、両方同時に適用することはできません。自分に有利な方をどちらか一つ選ばなければなりません。具体的にみていきましょう。

・合計所得金額1,000万円以下かどうか
・どのような原因で住宅や家財に損害があったか
・どちらが有利か実際に試算

合計所得金額が1,000万円を超えると災害減免法は利用することができません。また盗難や横領などは雑損控除しか使えませんから、人によっては最初に条件で絞り込みができてしまいます。

多くの人は自然災害や火災などの損害が多いでしょうが、上の2つで絞り込めない場合には、実際にどちらが有利か試算してみることが必要です。

火災保険や地震保険に加入していれば、損害額のすべてあるいはある程度カバーできることもあります。しかし例えば水害などは支払いに条件があるので、該当しない場合には支払いになりませんし、実際の損害ではなく一定の率だけ支払うタイプもあります。地震保険も最大で評価額の50%までしかつけられません。保険ですべての損失が必ずカバーされるわけではないので、こうした税務上の制度は忘れずに活用しましょう。

■具体的な手続き、期限

雑損控除や災害減免法についての手続きは、確定申告を行うことが原則です。会社員や公務員の人は確定申告になれない人も多いでしょうが覚えておきましょう。但し、災害減免法については例外的なケースもあります。会社員や公務員、年金受給者については、勤務先などで一定の手続をすることで源泉所得税の徴収猶予や還付が受けられる場合があります。

また大災害の場合、その災害固有の特例措置などが出されることもあるので個別に災害などについては行政などの情報も適宜拾い上げるようにしてください。確定申告は前年1/1~12/31の所得について翌年の所定の期間に確定申告をします。

損害を受けた日時によっては何ヶ月も先になりますし、多くの人にとって何度もあることではありませんから見落としがちなところです。確定申告でお金が戻される手続きを還付申告といいます。還付申告の場合は確定申告の期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。

過去に災害などで被災してこうした手続きをしていなかった人も該当するようならいまからでも手続きしておきましょう。

 

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この記事を書いた人

平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp

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