インテリアとしての観葉植物――空間の演出法と選び方
Mie
2021/07/06
イメージ/©︎bialasiewicz・123RF
日々の生活 心にゆとり――「インテリア・オーナメント」とは
今回からは「インテリア・オーナメント」のお話です。
インテリア・オーナメントとは、日々の生活に楽しさや、気持ちにゆとりをもたらしてくれる生活小物や装飾品のことです。インテリア・オーナメント自体に独自の機能などはないため、個人のセンス、趣味、嗜好でアイテムが選択されます。そのため室内に置くインテリア・オーナメント次第で、その部屋の雰囲気やグレードが決まってしまいます。
室内空間とインテリア・オーナメントとのコーディネートの方法は、1種類のテーマで統一させたり、複数のテーマをバランス良くミックスさせる。あるいは強い個性を持ったアイテムのみを配置するなど、その方法はさまざまです。
しかし、「居心地の良い空間作り」で共通するのは、”室内空間全体のストーリーにアクセントを付けること”です。つまり、物語の文脈に盛り上がるエピソードを作るといいのです。
インテリア・オーナメントにはさまざまな種類とアイテムがあります。
それは、1)インテリア・グリーン、2)インテリア雑貨・小物、3)絵画、写真、彫刻、工芸品、4)茶室のインテリア/日本、の4つに分類されます。
今回は「インテリア・グリーン」の特徴や種類についてお話ししていきます。
「インテリア・グリーン」は大小さまざまな鉢植えを室内に取り入れて自然を身近に感じさせ、目で楽しんだり、気持ちをリラックスさせたり、気持ちに安らぎを与えるインテリアです。ですから、生け花やフラワーアレンジメントのような精神性や装飾性はありません。
ポイントは、できるだけ自然な形で室内に緑を取り入れることになります。そのため盆栽なども含めて、流儀や過度に手を加えられたアート的要素を楽しむインテリアとは区別されます。
幅の広がったインテリア・グリーンと効能
実際にオフィスやレストラン、一般住宅では、限られた空間に適した程よい大きさの観葉植物や植木が取り入れられています。
また、ビルの中のアトリウムや地下街などにはハイドロカルチャー(土を使わない水栽培)などの栽培方法が開発され、大きな樹木や植物を広い面積で育成することが可能になりました。そこでビルの中や地下であっても、自然と同様の緑の木々や草花が行き交う人々の目を楽しませたり、気分をリフレッシュさせてくれています。
特に自然の緑を肌で感じることが少ないビル街、オフィス街、さらに仕事をするオフィスではストレスもあるため、こうした場所では、自然の安らぎを与えてくれるインテリア・グリーンは、人が快適に過ごすうえで重要な役割を持っています。
住宅にインテリア・グリーンを取り入れる際のポイントと注意点
もちろん、これは住宅でも同様で、家で過ごしながらリフレッシュするためにインテリア・グリーンは、とても重要です。
そのためインテリア・グリーンを選ぶ際は、置き場所や手入れの頻度の考慮と、置かれている家具との調和、室内空間の雰囲気、生活者の嗜好などを加味したインテリア・グリーン選びをすることが大切です。
また、植物に水を与えることによって室内に湿気が発生し、場合によってはカビの発生の原因になる可能性もあるので、定期的な換気が必要となる場合もあります。
さらに室内に持ち込む際に、注意したいのが次の5つです。
1)育成が室内環境に適していること
2)植物の高さや幹の太さが適度であること
3)落葉しない植物であること
4)病害虫が付きにくいこと
5)香りや臭いのある植物であれは強い芳香の種類ではないもの
植物の種類別、特徴とポイント
インテリア・グリーンのイメージとして多くの方々は観葉植物を連想されると思いますが、それだけでなく、ハーブやシダの種類、針葉樹の1部も室内育成に適しています。具体的には、次のようなものがあります。
■ヤシの木の種類
アレカヤシ、ケンチャヤシ、フェニックス・ロベニー、シュロチクなど。これらは育成が比較的簡単で葉が大きくて見栄えがします。濃いグリーンの細長い葉が茂るのが特徴です。身の丈を超すボリュームのある植物が室内にあると、それだけで十分な雰囲気を作ることができます。
■ツタの種類
アイビー、ハートカズラなど。ツルが伸びる種類は吊り鉢やヘゴ材に絡ませます。中型が多いのですが種類と育成によっては大型にもなり、挿し木で増やすこともできます。
■サトイモの種類
ポトス、モンステラ、シンゴニウム、ディフェンヴァギア、フィロデンドロン、アグラオネマ、スパティフィラム、アンスリウムなど。比較的小型種が多く、根元から斑入りの大きな葉を何枚も出すのでボリューム感があるのが特徴です。寒さに弱いものが多く、室温には注意が必要ですが、耐陰性には富んでいます。
■ゴムノキの種類
ガジュマル、ベンジャミン、インドゴムノキなど。しっかりとした存在感のある幹が特徴です。種類によって葉の形はさまざまで明るい場所を好むものが多いので置き場所には注意が必要です。
■ドラセナの種類
ワーネッキー、アオワーネッキーなど。葉に光沢があり美しく、成長後も樹形があまり横に広がらずに管理しやすいのが特長です。アオワーネッキーはシックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒド、トリクロロエチレンなどの除去効果の高い植物です。
そのほかにも小さなお部屋では、シダの種類のアジアンタム、タマシダなど、小型の種類ものもおすすめです。
次回はインテリア・グリーンの手入れや、新様式での楽しみ方などをご紹介します。
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この記事を書いた人
MIE色彩研究社代表
自由が丘産能短期大学能率課インテリアコーディネーター課程卒業。産業能率大学情報マネジメント学部卒業。東京商工会議所カラーコーディネーター検定試験認定講師。電子機器製造メーカー、産業機械商社に勤めながら、社会人学生として産業心理学を学び、色彩と人間の意識との深い結びつきに共感。さまざまな社会経験を通して、色彩と人の意識に関わる数多くの実証の基、色彩スペシャリストとして事業を展開。東京都中央区銀座のオフィスではこれまでに培ったパーソナルカラー、空間色彩、商品色彩、カラースクール、色彩セミナーなどを個人、法人を問わず全国で行っている。趣味は街散策。