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究極の「和」のかたち #2 ——茶室を引き立たせる道具の数々とその意味(1/2ページ)

MieMie

2022/02/14

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イメージ/©︎pianoman555・123RF

一般的には炉に使用される大ぶりの釜が炉釜、風炉に使用される小ぶりの釜を風炉釜と呼びます。

茶室の象徴「炉」の演出

前回(究極の「和」のかたち——茶室のインテリア・オーナメントの基本に引き続き「茶室のインテリア/日本」のインテリア・オーナメントのお話です。

日本独自の文化であり、侘び寂び美学の象徴でもある茶室で最も象徴的、存在感のある実用的なオーナメントと言えば「炉」が該当するでしょう。

「炉」は囲炉裏のことで寒い季節に使用しますが、初夏からは、炉を閉めて代わりにポータブルな床置き型の「風炉」を使用します。これは、お客様が熱い炉の近くから離れて少しでも涼しくなるような配慮からです。

炉や風炉の上に乗せる「釜」はお湯を沸かす道具で炉釜と風炉釜の2種類があります。

一般的には炉に使用される大ぶりの釜が炉釜、小ぶりの釜を風炉釜と呼びます。また、四畳半以上の茶室や広間用の風炉に使用される「風炉先」は風炉先屏風とも言い、点前(抹茶を点てたり風炉に炭を置く行為)の際に道具を置く道具畳の向こうに立てる二枚折りの屏風のことです。

これを置くことによって道具畳としてのけじめをつけ、部屋を引き締め、道具を引き立てる意味あいがあります。

「香合(こうごう)」は茶室で焚く、お香を入れる為の器です。お湯を沸かす際の炭の匂いを消す役割もあります。

一般的な茶会では、お香を入れた香合を床の間に飾り、その香りを賞します。香合の素材には陶磁器、漆器、竹、貝類、金属類などがあり、季節によって使い分けをします。

「炉」の季節(11月~4月)には陶磁器、青磁を使用しますが、風炉(5月~10月)の季節には漆器、一閑(紙漆細工)を使用します。貝や金属の香合は通年使用できます。

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細部まで目配せを欠かさない茶道具

「茶器」は濃茶を入れる陶器の「茶入れ」と薄茶を入れる木漆器の「棗(なつめ)」の2種類があります。茶器は金襴(きんらん)、間道(かんとう)、緞子(どんす)などで作られた布袋の仕覆(しふく)を着せて観賞します。

「棗(なつめ)」は植物の「棗の美」の形に似ているので、そう呼ばれていますが、実際にはいろいろな形や素材(竹漆器、紙漆器など)があり、これらは他の茶道具類に合わせて選択されます。

「茶杓(ちゃしゃく)」は棗などの茶器から抹茶をすくう道具で材質は竹や象牙、鼈甲(べっこう)、木材などの素材で「花入れ」同様に格式が「真:節が無い竹材、象牙」「行:茶杓の中心に節がある竹材」「草:茶杓の手元に節がある竹材、桜の木材、梅の木材」の順位に分けられています。

「茶筅(ちゃせん)」は茶を点てる際に使用する主に竹素材の道具で、湯を加えた抹茶を茶碗の中で素早くかき混ぜるために使用します。

「柄杓(ひしゃく)」は茶を点てる際に湯を汲む竹製の道具で炉用と風炉用では大きさが異なります。 

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この記事を書いた人

MIE色彩研究社代表

自由が丘産能短期大学能率課インテリアコーディネーター課程卒業。産業能率大学情報マネジメント学部卒業。東京商工会議所カラーコーディネーター検定試験認定講師。電子機器製造メーカー、産業機械商社に勤めながら、社会人学生として産業心理学を学び、色彩と人間の意識との深い結びつきに共感。さまざまな社会経験を通して、色彩と人の意識に関わる数多くの実証の基、色彩スペシャリストとして事業を展開。東京都中央区銀座のオフィスではこれまでに培ったパーソナルカラー、空間色彩、商品色彩、カラースクール、色彩セミナーなどを個人、法人を問わず全国で行っている。趣味は街散策。

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