食事を彩るテーブルウェア――英仏式編
Mie
2021/04/08
イメージ/©Andrey Bayda・123RF
ディナーウェアの種類
見た目にも食事を彩るものが、テーブルに並んだ食器です。テーブルマナーがあるように、食器にも料理や飲み物に合わせたものがしつらえます。それが「テーブルウェア」です。
「ディナーウェア」とは晩餐に限らず、朝でも昼でも正式なコース料理に使用される食器類のことです。今回は英仏式の「ディナーウェア」の具体的な種類の紹介をしていきましょう。
食器のサイズや用途は盛り付ける料理によって決まっていて、同一デザインで揃えることが正式とされています。具体的には、お皿を中心に金属のカトラリー類、グラス類、ナプキンなどのテーブルクロス類も含まれます。今回は「ディナーウェア」のなかでもアイテム数の多い「ディナーセット」「グラス」「シルバーウェア」について説明していきます。
「ディナーセット」は3種のカテゴリー「食器」「センターピース」「テーブルアクセサリー」に分かれています。
「食器」の詳細は、サービス皿、ミート皿、スープ皿、パン皿、ケーキ皿。
ティー碗皿、コーヒー碗皿、ティーポット、コーヒーポット、シュガーポット、クリーマーなど。
「センターピース」の詳細は、スープチューリン、キャセロール、オーバルディッシュなど。
「テーブルアクセサリー」の詳細はコンポート、トレイ、グレビーボート、クレセント皿、ジャムポット、マスタードケースなどがあります。
特に「センターピース」は、各ゲストの食器へとセンターピースから取り分けてサービスすることが西洋料理にとってセレモニーとしての重要な役割を果たしています。
「ディナーセット」は、人数や提供するコースメニューの料理数に対応するように揃えられています。
例えば、12人用ディナーセット=96ピース、6人用ディナーセット=43ピース、4人用ディナーセット=23ピースなど、各テーブルウェアメーカーは用途によりアイテムを自由に組み合わせられるように製造しています。
「グラス」は5種のカテゴリーがあり、「食前酒用グラス」「食間酒用グラス」「食後酒用グラス」「グラス素材センターピース」「グラス素材テーブルアクセサリー」に分かれています。
「食前酒用グラス」は、シェリーグラス、カクテルグラスなど。「食間酒用グラス」は、シャンパングラス、ワイングラス(赤ワイン用・白ワイン用)、ゴブレット(ジュース・水)など。「食後酒用グラス」は、リキュールグラス、ブランデーグラス、ウィスキーグラス、オールドファッション、タンブラー、ビアグラスなど。
「グラス材センターピース」は、グラス(硝子)素材のセンターピース類。
「グラス素材テーブルアクセサリー」は、グラス(硝子)素材のテーブルアクセサリー類の他にデカンタ(ワイン・ジュース・水)、バターケース、調味料ケース(胡椒・塩)などです。
特に洋食用のお皿は、和食器と比較すると、高さ、厚さ、素材、色などが、とてもシンプルなため、グラス(硝子)素材を加えることはテーブル上に輝きと、華やかさを添える役割をも持ち合わせています。
「シルバーウェア」は2種のカテゴリーの「カトラリー」と、「その他のシルバーウェア」に分かれます。
「カトラリー」は、スープスプーン、オードブルナイフ、ミートナイフ、フィッシュナイフ、ミートフォーク、フィッシュフォーク、オードブルフォーク、バターナイフ、アイスクリームスプーン、フルーツナイフ、フルーツフォーク、ティースプーン、コーヒースプーン、デミタススプーンなど。
「その他のシルバーウェア」は、ワインバスケット、スープレードル、サービススプーン、サービスフォーク、サーバー、シュガーケース、トング、ナイフレスト、フィンガーボール、キャンドルスタンドなどです。
「シルバーウェア」は地味な存在ですが気品や格調を表すため、テーブルウェアのなかで何よりも大事な役割を持つアイテムです。
テーブルウェアを選択するうえで大切なことは対象となるお客様の年齢や料理の内容、どのようなシーンの席であるのか、そして、その空間自体やテーマに適した物を揃えることがとても重要です。そのためには条件を満たす料理の盛り付けや、サービスの仕方も考慮しなければなりません。
共通となる留意点としては次の「5要素」を考えるとよいでしょう。
1.空間とのバランス
2.テーマの表現
3.季節感
4.清潔感
5.食べやすさ、サービスのしやすさ
この5要素に適したテーブルウェア選び+テーブルセッティングをすることで、各シチュエーションに最適な空間、場面、雰囲気が完成します。
次回は日本文化のテーブルウェアのお話です。
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この記事を書いた人
MIE色彩研究社代表
自由が丘産能短期大学能率課インテリアコーディネーター課程卒業。産業能率大学情報マネジメント学部卒業。東京商工会議所カラーコーディネーター検定試験認定講師。電子機器製造メーカー、産業機械商社に勤めながら、社会人学生として産業心理学を学び、色彩と人間の意識との深い結びつきに共感。さまざまな社会経験を通して、色彩と人の意識に関わる数多くの実証の基、色彩スペシャリストとして事業を展開。東京都中央区銀座のオフィスではこれまでに培ったパーソナルカラー、空間色彩、商品色彩、カラースクール、色彩セミナーなどを個人、法人を問わず全国で行っている。趣味は街散策。