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あなたはなぜその「住宅」を選んだ? 国土交通省「令和2年度住宅市場動向調査」(2/2ページ)

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新築マンションに必要なのは立地とリセールバリュー

では、「将来、売却した場合の価格が期待できるから」という理由はどうだろうか?

「注文住宅(を取得した世帯)」…4.5%
「分譲一戸建て(〃)」…8.7%
「分譲マンション(〃)」…18.1%
「中古一戸建て(〃)」…7.3%
「中古マンション(〃)」…5.6%

数字自体は大きいとはいえないが、分譲マンションが突出した様子を見せている。新築マンションの購入において、リセールバリューを期待する人が少なくない現状の表れといっていいだろう。

すなわち、立地とリセールバリュー、絡み合う2つの価値が、いま新築分譲マンションには求められる傾向が強いといった格好だ。

次に世帯主の平均年齢と、それにかかわるデータをみていきたい。日本社会の課題のひとつが浮き出てきている。(注文住宅の調査地域は全国。その他は三大都市圏)

「注文住宅(を取得した世帯)」…42.9歳
「分譲一戸建て(〃)」…39.6歳
「分譲マンション(〃)」…43.5歳
「中古一戸建て(〃)」…46.8歳
「中古マンション(〃)」…47.1歳
「民間賃貸住宅(に入居した世帯)」…39.3歳
(リフォーム住宅は58.4歳だが、需要層が基本として高年齢層に偏るためここでは除く)

ご覧のとおり、もっとも高いのが中古マンションの47.1歳。もっとも低いのが30歳未満の世帯主が34.1%にのぼる民間賃貸住宅で、平均39.3歳となっている。

ただし、民間賃貸住宅のデータは、実は真ん中の世代の数字が太っていない、いわば“天秤型”となっている。若い人が多い一方、50代や60代以上の割合も結構多い(合わせて25.2%)。

そのうえで、高齢者(65 歳以上)がいる民間賃貸住宅入居世帯の割合は11.4%。そのうち「高齢者のみの世帯」は54.2%となっている。おそらく、これら2つは今後さらに伸びていく数字だろう。

集合住宅に暮らす高齢者の独居率が数字に反映されている

賃貸住宅以外の数字も併せて挙げてみよう。

(高齢者がいる世帯のうちの、高齢者のみの世帯の割合)

「注文住宅(を取得した世帯)」…27.0%
「分譲一戸建て(〃)」…11.1%
「分譲マンション(〃)」…35.5%
「中古一戸建て(〃)」…21.6%
「中古マンション(〃)」…43.6%
「民間賃貸住宅(に入居した世帯)」…54.2%

このとおり、民間賃貸住宅~中古マンション~分譲マンションの順に、割合が高い。なおかつ賃貸住宅の多くは、マンション同様、集合住宅とみてよいだろう。

すなわちここでは、集合住宅に暮らす高齢者においての独居率、もしくは夫婦のみ世帯率の高さが、そのまま表れているものといえるだろう。

現代のマンション・アパートという閉鎖的になりやすい環境のなか、生活のサポートが必要になった場合に誰がそれを担うのか、「見守り」の状況が懸念される皆さんだ。

以上、多ページにわたる報告書のなかのほんのわずかな部分のみ、紹介をさせていただいた。

報告書本体および関連資料は、下記リンク先にて公開されている。よろしければ、ぜひ目を通されてみてほしい。

国交省 報道発表資料 令和2年度住宅市場動向調査の結果をとりまとめ

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