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変化の兆しが見えてきた

民泊、空き家問題(2/3ページ)

川久保文佳川久保文佳

2019/02/02

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2、空家の事情――大阪、八尾市を訪ねて

あるきっかけから、先週大阪府八尾市を訪ねることになりました。まずは、大阪府八尾市の田中誠太市長を訪ね、八尾市の空き家等対策計画をお聞きし、担当者からも今の八尾市の取り組みについて教えて頂きました。

八尾市の空き家率は1998年の10.9%から15年経った2013年には14.8%となっていて、全国平均13.5%を上回っています。同じく大阪府においても14.8%と高い数字になっています。2016年現在、全国において65歳以上の高齢者のいる世帯は全世帯の48.4%を占めているとされていて、そのすべてが高齢者のみの住宅ではないとしても、予測される空き家率は住宅の「空き家率×高齢化」という関係性から、ここ数年で急激に高くなると考えられます。

実は、空き家対策での取り組み次第では、若者の移住や、海外からの旅行者による短期移住などによって、雇用が生まれ、地方都市においては生産年齢人口が上がるなど、良い効果をもたらす場合もあります。

八尾市は中枢中核都市に指定されました。これは東京への一極集中を抑制し、地方活性化を促すために「まち・ひと・しごと創生総合戦略改定案」などを推進していくものです。八尾市は大阪中心部から少し郊外であるからこそ地価も安く、いろいろな施策を打ちやすい街という印象をうけました。

昨年、大阪は台風によって関西国際空港が閉鎖に追い込まれるなど、大阪府内で、多大な被害が報告されました。大阪中心部から八尾市までの電車からの車窓では、まだまだ屋根にブルーシートのかかったままの住宅が多く見られました。

また、今なお被害の報告が市や河内新聞、消費者団体へ寄せられているようです。

そんな中で問題になっているのが空き家です。持ち主の不明な空き家が数多くあり、崩壊しそうな建物に手を付けられないなど、問題になっているようです。

どこの自治体へ行っても、“空き家の対策が滞っている原因”についてお話を伺うと決まって、初めに出てくるのが、持ち主のわかからない空き家です。不動産登記簿情報から持ち主を探しても、移転の為、持ち主までたどり着かないことが多くあります。

その対策として、総務省は固定資産税情報が有効との見解を示しています。しかしながら、その情報は非公開で、空き家対策には直接結びついていないのが現状です。ただ、崩壊の危険性がある空き家については、固定資産税情報を自治体が確かめて解決へ向かうケースも出てきているようです。

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この記事を書いた人

一般社団法人空家空室対策推進協会代表理事/株式会社エアロスペース CEO/ビーモア株式会社代表取締役タナメラジャパン(マレーシアスパコスメ)代表/jasmin(全国民泊同業組合連合会)理事

一般社団法人空家空室対策推進協会代表理事/株式会社エアロスペース CEO/ビーモア株式会社代表取締役タナメラジャパン(マレーシアスパコスメ)代表/jasmin(全国民泊同業組合連合会)理事 北海道函館市生まれ。現在の札幌国際大学 卒業後、リクルート住宅情報事業部にてライターを務めた後、IT企業を経て不動産関連事業へ転身。その一方で、化粧品とサプリメントのコンサルティングや専門家としてのアドバイザー務める。海外派遣先では、フィリピン・タイ・カンボジア・マレーシアなどで日本への輸出入をテーマにセミナーを行うなどマルチに活動している。

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