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不動産の利回りとは?(2/2ページ)

熊ヶ谷一幸熊ヶ谷一幸

2016/07/14

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キャップレート
 = 償却前営業利益 ÷ 不動産の購入価格
 = (想定年間賃料ー想定年間費用) ÷ 不動産の購入価格 (式3)

上記の算式(3)は、プロの投資家が不動産投資を行う場合に通常用いられる「キャップレート」という利回りの考え方を示した式です。算式(1)が、「満室時の年間賃料」を不動産の購入価格で割っていたのに対し、算式(3)では、「償却前営業利益」を不動産の購入価格で割っています。実は、償却前営業利益は、不動産の収益力を最も的確に表す利益指標であり、これを不動産の購入価格で割ったキャップレート(CR)こそ、不動産の投資判断を行う上有用な利回りと考えられるのです。

償却前営業利益とは、想定年間賃料から想定年間費用を差し引いたものですが、これをもう少し詳しく見てみましょう。

想定年間賃料=満室時年間賃料(貸室賃料収入+駐車場収入+共益費収入+その他収入)-空室・貸倒損失想定額
想定年間費用=維持管理費+公租公課(固定資産税+都市計画税)+損害保険料+その他費用
すなわち、償却前営業利益とは、満室時年間賃料から、空室・貸倒損失想定額と、維持管理費、公租公課、損害保険料等の通常の営業費用を差し引いた利益なのです。満室時の年間賃料がどんなに高くても、空室・貸倒損失想定額が大きかったり、維持管理費、公租公課、損害保険料等の実際に流出する経費が大きかったりすると、その不動産から生み出されるキャッシュフローは少なくなってしまいます。ですから、不動産の実際の収益力を見るには、償却前営業利益で見ることが大切であり、それを不動産の購入価格で割ったキャップレート(CR)こそ、不動産の投資判断を行う上で、役に立つ利回りと言えるのです。

昨今の不動産の上昇局面においては、不動産投資を考える投資家にとっては、絶好の買場が訪れるチャンスでもあります。不動産市場の状況をしっかりと研究し、不動産の利回りを正しく理解して判断し、優良な収益不動産を探してみては如何でしょうか。

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この記事を書いた人

不動産鑑定士

株式会社東洋不動産研究所 代表取締役。1966年(昭和41年)生まれ。平成元年 慶応義塾大学法学部政治学科卒業。 学生時代はバトミントンなどのスポーツとアルバイトに没頭。不動産を生かすのは人間次第であり、個人生活・企業活動の成長は不動産のあり方・価値を極大化し、さらに個人生活・企業活動を成長させる、という不動産とのベストな付き合い方を提唱。どのタイミングで取得して処分するのかを時間軸でとらえ、ソリューション型の不動産調査・鑑定を日々実践している。 趣味は、エアロビクス。大手スポーツクラブの特別会員となっており、時間があればあちらこちらのスタジオに出没しては、主に中上級者向けエアロビクスを楽しんでいる。来年は、競技エアロビクスにチャレンジしようと考えている。 [担当]物件調査 熊ヶ谷一幸は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。

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