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設備重視なら築浅、立地重視なら古いマンション?

中古マンション購入で、おすすめの築年数は? 不動産のプロが4つのポイントで解説!

菅 正秀菅 正秀

2017/09/28

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購入するならどれくらいの築年数がおすすめ?


(c) naka - Fotolia

首都圏では、新築マンションの成約数より中古マンションの成約数が上回るなど、中古マンションが注目されるようになってきました。しかし、中古マンションは価格帯も築年数もバラバラです。

中古マンションを選ぶ際には、価格ももちろんですが、築年数も大きなポイントになることでしょう。では、中古マンションを購入するなら、一体どれくらいの築年数がいいのでしょうか。

中古マンション購入といっても、できるだけ築浅がいいという人もいれば、価格を抑えたいので多少古くてもいいという人もいるかと思います。ここでは、築年数から見た中古マンションの選び方について考えてみましょう。

中古マンションには築年数ごとに特徴がある

まずは、日本のマンションの歴史と築年数による特徴を見てみましょう。

マンションが日本の住まいとして定着するのは、1962年に「建物の区分所有等に関する法律」(通称マンション法)が制定されたことに始まります。それ以降、以下のように、いくつかのマンションブームを経て現在に至っています。

1963〜1964年 第一次マンションブーム(高額所得者向け)

1968〜1969年 第二次マンションブーム(大衆化路線)

1972〜1973年 第三次マンションブーム(ニュータウン団地路線)

1977〜1979年 第四次マンションブーム(職住近接 都心路線)

1986〜1989年 第五次マンションブーム(郊外型 都心は億ション)

1994〜2002年 第六次マンションブーム(都心回帰 タワーマンション登場)

このような変遷のなかで、建て方や工法、耐震性能や設備といった機能はもちろん、住まい方のルールなどソフト面でも多くの工夫がされ、進化してきました。

以上を踏まえて、おすすめの築年数について4つのポイントから考えてみたいと思います。

<ポイント1>設備面は築浅、立地は古いマンションが有利

まず、ひとつめのポイントですが、上で見たように、建てられた年代によって、マンションにはそれぞれ特徴があります。とはいえ、ひとつとして同じマンションはありませんから、ここでは築浅のマンションと古いマンションという括りで大まかな違いにふれておきましょう。

設備や機能については築浅のマンションのほうが有利です。当然、築年数が新しければ新しいほど、新築マンションとの差はなくなります。

免震、制震構造、アウトポール(柱や梁などのフレームを室外に出す工法)、バリアフリーなど、築年数の新しいマンションには新しい工法が用いられています。また、床暖房、ミストサウナ、浄水器、ディスポーザーといった住宅設備についても、築年数の新しいものほど充実していると言えるでしょう。

一方、立地については古いマンションのほうが恵まれているケースが多いようです。土地は新しくつくることができませんから、いい土地は早い者勝ちで埋まってしまいます。

そのため、人気のある住宅地ほど、駅前の便利な立地や地盤のいいエリアには、新築や築浅に比べて、築年数の古いマンションが多いという特徴があります。

設備や機能面での良い条件を備えているのは築浅のマンション、立地面での良い条件を備えているのは築年数の古いマンションということが言えるでしょう。

<ポイント2>マンションにも年代によって流行りのタイプがある

スキップフロア型マンションというものをご存知でしょうか?

スキップフロア型マンションとは、一棟のマンションのなかで、エレベーターが止まる階と止まらない階を設けており、数階おきにエレベーターが停止するつくりになっているマンションです。

たとえば、10階建てのマンションであれば、1、4、7、10階にはエレベーターは止まるけれど、それ以外の階にはエレベーターの扉が設置されておらず、エレベーターが止まらない、といった設計になっています

そのため、止まらない階に住んでいる人は、最寄りの停止階でエレベーターを降りて、自分の部屋までは階段を使うことになります。

スキップフロア型の場合、エレベーターが止まらない階には共用廊下をつくる必要がありません(図1)。

エレベーターが止まらない階の居住者にとっては、ほかの居住者が部屋の前を行き来することがなくなり、プライバシー性が高くなります。また、共用廊下がなくなった分、住居部分の面積を広げる、バルコニーを設けて二面バルコニーの間取りにすることで採光・通風を良くするといったことが可能になります。



(図1)エレベーターが停止しない階の構造



一時期、スキップフロア型のマンションは人気が高く、広く普及しましたが、バリアフリーの考え方に合わないため、現在ではほとんど建てられていません。

また、分譲時には、プライバシー性の高さなどからエレベーターが止まらない階の部屋は、エレベーター停止階の階よりも価格が高かったのですが、現在では逆転して、エレベーター停止階の部屋より安くなっています。

また、メゾネットタイプ(2階建の部屋)もあまり人気がありません。

これもマンションに戸建て感覚で住めるということで、トレンディードラマにも使われていましたが、階段スペースが占有面積を圧迫する、光熱費が多くかかるといった理由で人気がなくなりました。

建てられた時期によって、マンションにも流行のタイプがあります。将来、売却することも視野に入れるなら、あまり変わったマンションにせず、オーソドックスなタイプを選ぶといいでしょう。

<ポイント3>不動産のプロが築年数をチェックするポイントは?

仲介の現場では、中古マンションを築年数ごとに細かく区分しているわけではありませんが、ふたつだけチェックするポイントがあります。

ひとつは、新耐震基準のマンションかどうかです。

建築基準法の大幅な改正が行なわれたのが、1981年6月1日です。新耐震基準をクリアしているマンションとは、「建築確認済証」の交付日がその日以降のマンションということです。

ただ、物件資料には建物が完成した年月は記載されていますが、建築確認済証を取得した日の記載はありません。

そこで、建物完成の年月から逆算する必要がありますが、完成が1983年以降であればまず問題ないと言えるでしょう。

まず、建築確認は工事着工前1カ月くらいに取得します。そして、工事期間ですが、マンション建物の建築には1階当たり約1カ月かかります。ですから、たとえば10階建てのマンションなら完成するまでにかかる期間は、約10カ月です。

このように、建築確認と工事期間を合計して、逆算すれば1981年6月1日以降の物件かわかります。また、当時は、超高層のタワーマンションはありませんでしたので、工事期間を考えても、完成が1983年以降であれば新耐震基準のマンションと考えて問題ないでしょう。

なお、逆算しても判断がむずかしい物件については、役所で「建築概要書」を取得して確認することができます。

新耐震基準プロがチェックするもうひとつのポイントは、築後25年が経過しているかどうかです。

マイホームには税制の特例がありますが、各種税制の優遇措置を受けられるのは、築後25年以内の物件に限定されています。

住宅ローン控除や、所有権移転登記などの登録免許税、不動産取得税、贈与税の非課税措置など税金の特例を受けられるかどうかは、中古マンションを購入する人にとっては大きな違いになるため、原則としては築25年を超えないマンションを購入されることをおすすめします。

ただし、築25年を超えていても、建築士による適合証明が取得できれば、税制の特例が使えるケースがあります。

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<ポイント4>中古マンションが底値になる築年数は?

中古マンションの価格は、築20年ぐらいまでは規則的に下がっていきますが、築20年あたりからそのカーブが緩やかになっていきます。

つまり、築20~25年程度で中古マンションは底値になるということです(参考資料:2015年中古マンションの築年帯別平均価格/東日本レインズ)。

これは、別の記事にも書きましたが、築年数の古いマンションであっても、賃貸に出して家賃収入を得ることを目的に購入する投資家層がいるため、価格が大きく落ちなくなるからです。

私の住んでいる地域では、昭和50年代のマンションも、平成10年前後までの年代のマンションも、平均して2000万円ぐらいで取引されています。

また逆に、築5年以内の築浅物件は、売り主の住宅ローンの残高が減っていないケースが多く、価格を下げて売却すると住宅ローンが返せないので、物件価格が高くなる傾向があります。

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まとめ

以上のポイントを踏まえて、どれくらいの築年数の中古マンションを選ぶのか、その考え方をまとめると、次のふたつに集約されるかと思います。

(1)新築と遜色ない物件を探しているなら、築6〜10年くらいの物件

(2)自分の思いのままにリフォームやリノベーションをしたいと考えているなら、築20〜25年くらいの物件

そして、忘れてはいけないのは、新耐震基準をクリアしているか、また、税制の特例が受けられる物件かどうかを確認することです。

ただし、マンションは各地域に満遍なく分譲されているわけではありません。あなたがお探しの地域によっては、該当する年代のマンションが少ないとか、まったく分譲されていなかったということもあります。

購入を希望しているエリアの不動産会社で、そのエリアの特性をよくお聞きになってください。

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この記事を書いた人

株式会社フェリーズディア 取締役チーフコンサルタント

宅地建物取引士、マンション管理士、住宅ローンアドバイザー、福祉住環境コーディネーター。 1958年、大阪府大阪市生まれ。創価大学法学部卒業。大学卒業後、弁護士事務所に勤務、宅地建物取引士資格取得を契機に大手不動産会社に転じる。法律知識を活用し中古住宅、中古マンションの仲介営業を担当。 その後、顧客と一緒にモノづくりをするために、地域中小建設会社に移り、注文住宅・賃貸マンションの受注営業を担当。大手建設会社との競合が激しい中、操業以後に流入してきた近隣住民のクレームにお悩みの経営者さんに、不動産会社時代の人脈を使い工場の移転先を斡旋した上で、その跡地に93戸の賃貸マンション建設の受注をするなど、15年間で約32億円の受注する実績をあげる。現在は、建築にも明るい不動産コンサルタントとして、不動産会社のエスクロウ業務(契約管理)・新人社員指導等を行なっている。 一生に一度の買い物ともいえる住宅の購入をアシストできる人材を育成し、業界の健全な発展に貢献すべく活動中。

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