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マンション外壁タイル剥離が続発!――その原因とどこまで施工会社に責任を求められるか(4/4ページ)

大谷 昭二

2021/09/08

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最高裁判例から見る施工業者の責任

■別府マンション事件[最高裁 2011(平成23)年7月21日判決]
最高裁判決/設計事務所・施工業者にとって厳しい警鐘

判旨:タイルの浮き等「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」があれば、損害賠償の責任を負うべきである。

つまり、建物はそこに居住する者、そこで働く者、そこを訪問する者等さまざまな者によって利用されるとともに、当該建物の周辺にはほかの建物や道路等が存在しているから、建物は、これらの建物利用者や隣人、通行人等の生命、身体または財産を危機にさらすことがないような安全性を備えていなければなりません。

建物の建築に携わる設計者、施工者及び工事監理者は、建物の建築に当り、契約関係にない居住者等に対する関係でも、当該建物に建物としての基本的安全性が欠けることがないよう配慮すべき注意義務を負い、設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に、建物としての基本的安全性を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の生命、身体または財産が侵害された場合には、設計・施工者等は、これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負います。

この判例によれば、外壁の剥落が生じると、設計・監理者と施工者には損害賠償責任がありますが、それだけではなく、剥落する恐れのある部分を放置した場合もその補修費を損害賠償する責任があということです。

もし、剥落が生じると、設計・監理者と施工者は、その補修費、落下物による人身事故の場合の怪我の治療費、慰謝料、あるいは物損事故の場合の弁済費用など、一切の費用を損害賠償する責任が求められます。

また、外壁に「浮き」があれば、剥落防止の措置としての補修費を損害賠償しなければなりません。

一方、建物の所有者は、損害賠償請求にあたって、設計・監理者と施工者に過失などの不法行為があったことを立証する必要がないと解されます。当該判例は、どんな理由があろうとも、外壁の剥落は社会的に許容されないと判断しました。

品確法の瑕疵担保責任は、主要構造部と雨水が浸入する部分について、新築住宅購入者に対してのみ10年間保証されているが、不法行為責任の時効は20年、瑕疵を知ってから3年であり、しかも、契約者だけでなく、そこに居住する者、そこで働く者、そこを訪問する者等建物利用者に訴訟をする資格を認める画期的な判決でした。

構造耐力上主要部分でないバルコニーの手すりの瑕疵であっても、これによって生命や身体を危険にさらすものであれば、不法行為が成立するとの最高裁の判決を高く評価するものです。

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この記事を書いた人

NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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