マンション外壁タイル剥離が続発!――その原因とどこまで施工会社に責任を求められるか(3/4ページ)
大谷 昭二
2021/09/08
施工不良によるタイル剥離の見分け方
外壁タイル剥離に至らないための留意事項は次のようになります。
・使用するタイル材料は、所定のものであること(形状・色・割れ等)
・伸縮目地、ひび割れ誘発目地を仕様書で定められた位置に設置すること
・下地モルタルの硬化不良・剥離・ひび割れ・浮き等がないこと
・汚れやレイタンス等の有害な付着物が無いこと
・所要の下地の精度が確保されていること
・目地幅の不揃い、目地幅の不均一の確認
・タイル施工完了後の全数打診検査を実施
・タイル接着力試験の実施(100㎡毎に1カ所以上)
・モルタル塗りタイル下地のモルタル調合は、標準仕様書によること
これらの事項に留意することで、タイル剥離は減ってくると思われます。
施工不良かどうかを見分ける手だての1つに「剥離率」というものがあります。
マンション等の外壁タイルの剥離率は、一般的に5年で3%以下、10年で5%以下であれば経年劣化の範囲内といわれております。しかし、この数値は施工不良のサンプルも含まれているのでそれらを除外しています。
施工不良がない場合のタイル剥離率は、1年で0.19%(10年で1.9%)程度が妥当ではないかと推察されます。
ちなみに大阪地裁の研究グループでは、5年以内0%以上、5年超10年以内の3%以上、10年超15年以内5%以上、15年超20年以内10%超の外壁タイル剥離率は、施工不良が推認できると判断基準を提言しています。
この記事を書いた人
NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事
1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。