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シェアハウスだけではない アパマン不正融資も――被害者が語るスルガ銀行不正行為の実態(2/5ページ)

大谷 昭二大谷 昭二

2021/08/27

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物件価格は1億200万円で、年間の家賃収入が850万円以上、利回りは約8%と高利回り。しかも、融資はスルガ銀行が全額受けてくれると説明された。そしてキャッシュフローシミュレーションにも、2年後にはスルガ銀行の金利が下がるか、あるいは他の銀行に借り換えができるため、いずれにしても金利が下がることが示されていたという。

「借入金利は4.5%で高いと思いましたが、空室保証や修繕保証が付いている。自己資金も必要なく、2年後には金利が下がったり、他の銀行に借り換えができるのなら、リスクは小さいと思い込んでしまいました」(Aさん)

築25年以上経過した物件ではあったが、「管理がしっかりされており、修繕費もあまりかからない。家賃収入もしっかりしている」と話す不動産会社代表の言葉をAさんは信じ、現地にも行かず購入を決心。

その意思を不動産会社代表に伝えると、後日、渋谷の喫茶店に呼び出され、融資の申込書に記入し、必要書類の源泉徴収票を渡した。さらに印鑑証明、預金のある三菱UFJ銀行、ゆうちょ銀行の通帳も必要ということで「不安がよぎった」とはいうものの、「そんなものなのか」と実印、通帳、印鑑証明を渡してしまう。

言うがままにさまざまな書類を書かされて

契約は平成27年9月3日にスルガ銀行の東京支店内で行われた。そこには不動産会社代表、スルガ銀行首都圏営業の職員2人と司法書士がいた。契約書や重要事項説明の説明は、不動産会社代表からなされたものの、宅地建物取引士証の提示はなかったという。

「司法書士から登記の説明などを受けた後、スルガ銀行の職員からの指示に従い、次々と出される書類に記入しました。その際、当時の私の年収は560万円程度だったのですが、年収欄には750万円くらいで記載するよう指示されました。うちの会社は残業代がきちんと付くので、休日手当なども加味すれば750万円ほどはもらえる状況ではあったのですが……」(Aさん)

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この記事を書いた人

NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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