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『地面師――他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』の著者・森功氏に聞く 地面師の実態とだまされないための心構え(3/4ページ)

小川 純小川 純

2020/11/12

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だましの手口と戻ってこない土地

――さまざまなところから情報を集め、ターゲットになる土地を定めて、アプローチをしてくる地面師たち。地面師たちから金をだまし取られるターゲットは一義的には不動産会社やデベロッパーだが、地主が被害者になるケースもある。

地主に接触してくるケースと地主をまったく無視するケースがあります。富ヶ谷の事件は地主が台湾人で日本にいなかったので、接触もなく行われました。また、アパホテルの事件も地主との接触はありませんでした。

地主に接触してくるケースでは、最初は地主に土地を売ってくれといわゆる地上げに来るというパターンです。そこで「売らない」と断られて、それなら地主になりすまして土地を売却しようと、地上げから地面師に方針転換するケースもある。こうした“なりすまし”は彼らの用語で「なんちゃって」と言います。

また、手数料や手付けだけをだまし取る「逆ざや」とう手法もあります。たとえば、10億円の価値がある土地に対して1億円の手付金を地主に支払い、その土地を担保に金融機関から10億円の融資を受けたり、10億円で売却。最初の手付金だけで、あとは金がないと逃げてしまうというものです。そこでだまされたと警察に被害届を出すと、100万円、200万円のお金を支払うことで、警察の介入を防ごうと「民事崩れ」にしてしまいます。その後、裁判で和解にする。和解になると取られた側も早めに終わらせたい気持ちが働いたり、本来は10億円の価値があっても、全くないよりはマシということで、5億円ぐらいで妥協してしまうこともあって、そうなれば残りは地面師たちのまる儲けです。

――何も知らず「なんちゃって(なりすまし)」の地面師事件で土地が使われたケースで、最悪なのはその土地が戻ってこないこともあるという。

本には書いていないケースですが、地主になりすまして不動産業者に売却された土地では、買った不動産業者が土地を分筆して分譲販売したというものがありました。発覚したのが売ったあとで、それを知った地主が、不動産業者を訴えましたが、だまされた不動産業者も売却してしまっているため、地主はその土地は取り返せなかったというケースもあります。

実際、本でも書いている新橋のケースでは当該の土地が、いくつかのデベロッパーを通して、最終的にだまされたNTT都市開発に売却されたことになっていて、登記上はNTT土地開発の名義になっています。この土地の地主はすでに死亡していて、相続人もいない。本来なら国庫に納められるべきものでしょうが、この先どうなるかわかっていません。また、これは未遂で終わったケースですが、駅近の条件のよい賃貸アパートがなりすましで、居住者も含めて丸ごと地面師の被害に遭いそうになったケースもありました。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

週刊、月刊誌の編集記者、出版社勤務を経てフリーランスに。経済・事件・ビジネス、またファイナンシャルプランナーの知識を生かし、年金や保険など幅広いジャンルで編集ライターとして雑誌などでの執筆活動、出版プロデュースなどを行っている。

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