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思わずガッツポーズしたくなるお客さんとは?

部屋探しの際、知っておきたい 不動産営業マンの笑顔の裏にある3つのホンネと理想の物件の探し方(2/3ページ)

大友健右大友健右

2017/04/06

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<ホンネ2>営業マンには優先して契約を取りたい物件がある

もうひとつ、営業マンのホンネとして知っておいていただきたいのは、営業マンには優先的に契約を取りたい物件があるということです。

たとえば、入居者が決まりそうになっていたのに契約の一歩手前でキャンセルされてしまったなど、大家さんとの関係から早く契約を決めたい物件もあるでしょうが、やはり営業マンが契約を決めたいと考えるのは、より多くのお金が入ってくる物件です。

賃貸物件の契約が成立すると、不動産会社には仲介手数料が入ります。この仲介手数料は、宅建業法で「家賃1カ月分」という上限が決められています。

仲介手数料を支払うのは大家さんと借り主ですが、大家さんと借り主が支払う仲介手数料の合計が、「家賃1カ月分」を超えてはいけないというルールがあるのです。

ですから、借り主(大家さん)が家賃1カ月分の仲介手数料を払えば、大家さん(借り主)が手数料を支払う必要はありませんし、借り主が家賃0.5カ月分を支払ったら、大家さんから受け取る手数料の上限は0.5カ月分になります。

となると、より多くのお金が入ってくる物件というのは、家賃の高い物件ということになりますが、それだけではありません。

実は、賃貸物件の契約時には、AD(広告料)という名目で仲介手数料の上限を超えるお金が大家さんから不動産会社に支払われているケースが多いのです(図1)。

 
(図1)賃貸借契約における仲介手数料、ADの流れ

ADがつかない物件の契約を取っても、不動産会社に入ってくるお金は家賃1カ月分ですが、ADがつく物件の契約が取れれば、不動産会社には家賃2カ月分とか3カ月分のお金が入ることになります。

その結果として、営業マンが「お客さんにとってのいい部屋」ではなく、「ADがついている儲かる物件」を積極的にすすめてしまう場合も少なからずあるのです。

<ホンネ3>改めて、なぜ子どもの部屋を探すお客さんが喜ばれるのか

ここまでお話ししたことで、冒頭で申し上げた子どもの部屋探しのために地方から出てきたお客さんは、営業マンにとってどれだけ「いいお客さん」なのかがご理解いただけるのではないでしょうか。

そうしたお客さんは、土地勘も時間もないので、本当のおすすめの物件は見せずに、「いまの時期はこれしか物件がないんです」と自分たちにとって都合のいい物件をいくつか紹介すれば、その日のうちにそのなかから物件を選んで契約を申し込んでくれるわけですから…。

もちろん、そのような「いいお客さん」に限らず、営業マンにとっては、儲かる物件をいかに契約してもらうかが腕の見せどころです。

先ほどもお話ししたように、「ほかの人に取られちゃいますよ」とか「こんなにいい物件はもう出てきませんよ」などとお客さんの不安を煽るのは当たり前で、「みせ物・ボロ物・決め物」などとも言いますが、物件の内見をするとき、最初の1件は手が届かない豪華な物件、もう1件はわざとダメ物件を見せてがっかりさせておいて、最後に本命物件を見せて契約を取るというテクニックも使います。

また、すでに契約済みの物件をポータルサイトに掲載したままにしておいて、問い合わせてきたお客さんに別の物件を紹介する「おとり物件」もよく使われています。

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この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

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