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掘り出し物の良質な物件も 定期借家の「いま」を借りる側も知っておこう(1/3ページ)

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イメージ/©︎torianime・123RF

部屋探しに定期借家を含める? 含めない?

2000年に法律が施行。もうすぐ四半世紀を迎えようとしている「定期借家」。

貸主からの更新拒絶が困難な「普通借家」に対し、契約で定められた期間の満了をもって、建物の賃貸借関係を確実に終わらせることができる制度だ。ただし、この定期借家、当初の予想に反して(予想どおり?)賃貸住宅市場への広がりはかなり限定的だ。賃貸物件を探す多くの人にとって、「定期借家? 名前だけは聞いたことがあるけれど……」が、いまだ実情といったところだろう。

一方、制度をよく知っている人にとっては、定期借家イコール、何やら重苦しいプレッシャーとなる。

「この物件に入居しても、〇年後には追い出される。そのとき都合悪く引っ越しがしにくい状況だったりしたら……」

部屋探しの際、定期借家を初めから除外する人も実際少なくない。そのためか、例えば不動産ポータルサイトのひとつ「SUUMO」では、検索条件の上位メニューのひとつに「定期借家を含まない」が用意されている。ユーザーがこれを簡単に選べる仕組みとなっているわけだ。

さて、そんなイマイチ人気のない定期借家だが、では、逆にどんな物件がこの制度をあえて利用しているのだろう?

主な4つのケースを挙げていこう。

1.ハイグレードなマンション物件

定期借家は、家賃が高く、床面積も広い、立地も良好なハイグレード賃貸マンション物件に、実は採用されやすい。

参考になるよい数字がある。不動産ポータルサイト「at home」を運営するアットホームが、今年の5月に公表している「定期借家物件の募集家賃動向(2020年度)」にあるデータだ。

東京23区の賃貸マンションにおける「定期借家と普通借家の平均募集家賃」を見ると、このようになっている。

一目瞭然、平米数が増えるほど、定期借家の平均家賃は高い上昇率で上がっていく。普通借家との差がグングン開いていくのがよくわかるだろう。

さらに、以下の数字だ。東京23区の賃貸マンションに占める定期借家物件の割合となる。

50~70㎡では約11件に1件、70㎡超では、実に約4件に1件が定借物件となっている。よって、こうした物件をさきほどのSUUMOで仮に探す場合、「定期借家を含まない」にチェックを入れてしまうと、見逃される物件の数はエリアによっては相当な割合に及んでしまう。

例えば、以下は10月上旬某日に行った実際の検索結果だ。

・「東京都港区」「駅徒歩5分以内」「賃料20万円以上」「マンション」の条件で検索
……定期借家も含んだ物件数として約11,000件がヒット

・上記から定期借家を除くと、ヒット数は約9,000件に下がる
……18%ほどの脱落が発生

5件に1件近くが視界から外れたことになるわけだ。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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