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掘り出し物の良質な物件も 定期借家の「いま」を借りる側も知っておこう(3/3ページ)

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4.気概あふれるオーナーの物件

最後に、少ない事例だが伝えておこう。賃貸経営に真剣なやる気のあるオーナーが、募集の際のアピール面で不利なはずの定期借家をあえて選んでいることがある。

ある街での例だ。駅周辺に集まる賃貸仲介会社の多くがイチオシに挙げるある単身用マンションが、実は定期借家だ。

さほど新しい物件ではなく、家賃は比較的安い。オートロックも導入されていない。それでも掃除が細かいところまでつねに行き届くなど、管理がよく、入居者は女性が多い。エントランスは、帰宅する人の目を癒すため、オーナーが飾る絵や置物によるちょっとしたギャラリーになっている。

管理会社もそんなオーナーの気持ちに応え、キビキビとよく動く。そのため、入居者の定着率も高い。賃貸経営へのあふれる気概が、見る者にもグイグイと伝わってくる“熱い”物件だ。

オーナーは、そんな物件での良好なコミュニティを維持するための、いわば枠組みとして、定期借家を利用している。つまり、この物件での定期借家は、あくまで期間満了後の再契約が前提のものだ。実質、普通借家における更新と変わらない。

ただし、万が一方向性にそぐわない行動をとる入居者が現れた場合は、長居することなく立ち去ってもらえる仕組みが、ここには用意されている。そのことを入居者それぞれも、よい意味での緊張感を保ちつつ認識し合っている雰囲気が、このマンションからは大いに感じられるといったところだ。

定期借家をハナから除いた部屋探しをすると、こうした物件が目に入らなくなることもあるわけだ。ぜひ知っておこう。 

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この記事を書いた人

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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