重要事項説明書と契約書――記載内容の間違いと納得できない契約内容(3/3ページ)
大谷 昭二
2021/01/07
ご相談では「借主に一方的に不利……」ということですが、具体的な記載条項を確認する必要があります。その条項が、借地借家法の強行規定や消費者契約法に違反すると認められる場合には、そのまま契約しても、条項としては認められません。とはいえ、借地借家法の強行規定や消費者契約法に違反しているのであれば、やはりトラブル予防のために、家主に「法律上認められないと思うので、削除してほしい」と交渉しておいたほうがいいでしょう。
ただ、そうしたことを言ったことで家主が契約そのものを拒否してくる可能性があります。もちろん、借地借家法の強行規定や消費者契約法に規定・法律に違反していない条項であれば、借主は認めなければなりません。
一般的な傾向として、空室が出てもすぐに借主が見つかるような条件のよい物件の家主は強気なので、借主から「不利な条項を削除してくれ」と申し出ても、「無理に契約してもらわなくて結構。他にいくらでも借りたいという人がいるから」という答えが返ってくるでしょう。
それでも交渉するのであれば、借主に一方的に不利な条項がある場合、場合によっては契約できなくなることを覚悟した上で「納得できなければ契約しない」のかをはっきりさせ、家主(仲介業者)との交渉してみるのも1つの方法でしょう。こちらに理があっても、どうにもならないこともあるのが現実です。
【関連記事】
ゴミのトラブルとオーナーチェンジのトラブル その交渉方法は?
「自宅兼事務所」で退去? うっかりミスの「家賃の滞納」で退去?――条件の解釈をめぐって起こる賃貸住宅のトラブル
同じ物件での部屋の移動 定期借家契約の解約――家主から出された条件は?
部屋を借りるときの書類とお金のやり取りでのトラブルの防止――重要事項説明、入居申し込み、手付金
礼金は誰へのお礼? 敷金と保証金の違いは? キャンセルしたときに手付金は戻ってくるの?
この記事を書いた人
NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事
1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。