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クッションフロア、複合・無垢木材から石材まで10種の床素材の適材適所

MieMie

2020/05/12

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今回も前回に引き続き「居心地の良い空間作り」で扱うインテリアのベースカラー(基調色)の材料の1つ「床材」のお話です。

前回は床材として必要な【5つの耐久性】の「耐摩擦性」「耐水・耐薬品性」「耐変退色性」「耐光性」「耐熱性」ついて。そして、【5つの機能性】の「安全性」「歩行感・キャスター走行性」「遮音性」「断熱性」「防汚性・メンテナンス性」という2つの要素における、代表的な床材の「クッションフロア」「複合木材」「無垢木材」「カーペット」「タイルカーペット」「畳」「フロアタイル(ポリ塩化ビニル)」「コルクタイル」「磁器タイル」「石材」について。

この2つの視点から具体的な例を挙げて、それぞれの適性について簡単に解説しました。

今回はさらに一歩進めて、素材ごとに何を基にどのように作られ、何と呼称されているものなのか、といったお話をしていきます。今回は、代表的な10種の床材の詳細と適性についてお話をしていきます。

1.「クッションフロア」

クッションフロアはプラスチック系床材の1種で、塩化ビニル樹脂に可塑剤(合成樹脂やゴムなどの高分子物質を軟らかく加工しやすくする物質)、安定剤(加工の際に熱による分解を阻止してプラスチックの劣化を防ぐ物質)、充填剤(熱による伸縮を抑えて寸法を安定させる物質)、顔料を加えて成型したシートです。特徴は発泡層のある素材で、表面にはビニルを積層し、凹凸のエンボス加工を施した幅広で長尺のものを総称してクッションフロアと呼びます。目地の溶着が可能なために、継ぎ目のない床面を作れることが大きな特徴で汚れにも強く歩行感が良いので公共の建物用から住宅用としても多く用いられています。

2.「複合木材」

複合木材は表面、裏面、側面、木口(きぐち)面に「実(さね)はぎ」などの加工が施されている積層材や合板などの有機質材。樹脂などの無機質材を基材としてその表面に、見栄えのするチーク、オーク、ケヤキ、桜、樫、カバ、ブナ、ナラなどの美しい天然木の薄い板が張られているものがあります。一般的なフローリング床材と言えば解り易いでしょう。 

3.「無垢木材」

無垢木材とは、文字通り100%有機質材である天然の木質床材のことです。洋室で使用される木材は主にメイプル、カリン、メンガリス、ケンパス、メルボー、ラバウッド、桐、楠、栗などがあります。一方、和室には使用される木材は主に檜、松、杉などが用いられます。室内の無機質材から発生しているとされる樹脂などに混入された化学物質が起因と考えられているシックハウスや環境ホルモン対策の選択肢としても無垢木材は需要があります。

4.「カーペット」

絨毯(じゅうたん)とも呼ばれ、素材はシルク、ウール、リネン、コットンなどの天然繊維を用いたもの、あるいはナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレンなどの化学繊維を用いたもので、床仕上げ材の総称です。カーペット(絨毯)は柔らかな素材が多いため、ロール状(巻いた状態)での収納が可能で、大きな面積を有するものを呼称します。主な目的は室内の保温、断熱、防音、衝撃を和らげるクッション効果、埃(ほこり)のまい上がりを防いだり、装飾目的などがあります。

5.「タイルカーペット」

タイルカーペットは小さくカットされたカーペットのことで、オフィスなどではOA機器の床下に配線スペースを確保する為の構造を施した床の表面仕上げ材として使われています。主に50㎝四方にカットされているものが多く、部分的な張替えも可能な面積が小さなサイズのカーペットです。落ちない汚れが付着したとしても、その部分だけが交換できるので、メンテナンスが簡単というのも、とても大きな利点でしょう。 

6.「畳」

畳は日本の伝統的な床材ですが、歴史的には当初、座具や、寝具、置き敷き用として使用されていたものでした。しかし、鎌倉時代以降からは床全体に畳を敷き詰めるようになりました。畳の基本的な構造は内部全体に稲穂と蔦(つた)を交互に何層にも重ねて糸締めした畳床があり、その畳床の表面に藺草(いぐさ)の茎で織った畳表を被せています。畳は多湿な日本の風土に適した床材で吸湿、放湿性に優れていて、見た目にも美観であることや、真新しい畳の清々しい香りも特徴的です。この独特の香りは畳の表面の藺草(いぐさ)の茎の香りで、芳香のほかに、鎮静、消臭、脱臭、抗菌作用もあります。和室で落ち着いた気持ちになる理由も納得です。現代では軽量でコスト面でも手軽な無機質材を使用した畳も製造されています。

7.「フロアタイル」

フロアタイル(ポリ塩化ビニル)とはクッションフロアと同じプラスチック系床材ですが、クッションフロアとの大きな違いは発泡層がないこと、30~45㎝四方のタイル状に小さくカットされていること、そして機能性の幅が非常に広いことが特徴です。例えば、耐酸性、耐油性、帯電防止、誘電性、放射線防護性などの特殊機能を備えるものから、発色や意匠性に優れたデザイン性の高いものまで、種類がとても豊富でさまざまな用途に対応が可能です。 

8.「コルクタイル」

コルクタイルは、天然コルク外皮の粒状細片に「おがくず」や繊維などを混ぜてウレタンやアクリル樹脂を粘結材(接着剤)として加えて加圧し、成型したものがコルク材となります。こうして成型したものを0.3~1㎝厚の30~35㎝四方のタイル状にしたものがコルクタイルになります。特徴は吸音性、防振性、浮力性、弾力性に富み、熱伝導率が低く、科学的に不活性なことです。

9.「磁器タイル」

磁器タイルは、粘土や長石などを1300℃程度で焼成したもので、素地が硬いために耐摩擦性、耐水性、耐薬品性、耐変色性、耐光性などの耐候性に非常に優れています。そのため住宅内のキッチン、バスルーム、トイレなどの水回り、そのほかエクステリアやエントランスなどに用いられます。また、住宅以外でも歩行頻度の高い公共の床タイルなどにも使われています。 

10.「石材」

石材は、天然の石や石を粉砕してからモルタルなどを混入させた人造石の呼称で、石材それぞれの特性によって用途範囲が制限されます。例えば、花崗岩・かこうがん(例:みかげ石)や、大理石(例:ビヤンコカララ、オニックスなど)は床材として使用されることが多いのですが、花崗岩は火に弱く割れる恐れがあります。また、大理石は酸に弱いのでトイレ、キッチン、バスルームなどの石鹸や洗剤などを使用する場所には不向きですが、凝灰岩・ぎょうかいがん(例:大谷石)は、火に強い為、室内外の壁、暖炉、囲炉裏にも使用されています。

以上のように、ご自身の足と密着している床は、数えきれない程の多くの素材の中から、その場所の用途として最適なものが選ばれているということなのです。

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この記事を書いた人

MIE色彩研究社代表

自由が丘産能短期大学能率課インテリアコーディネーター課程卒業。産業能率大学情報マネジメント学部卒業。東京商工会議所カラーコーディネーター検定試験認定講師。電子機器製造メーカー、産業機械商社に勤めながら、社会人学生として産業心理学を学び、色彩と人間の意識との深い結びつきに共感。さまざまな社会経験を通して、色彩と人の意識に関わる数多くの実証の基、色彩スペシャリストとして事業を展開。東京都中央区銀座のオフィスではこれまでに培ったパーソナルカラー、空間色彩、商品色彩、カラースクール、色彩セミナーなどを個人、法人を問わず全国で行っている。趣味は街散策。

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