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心理的瑕疵あり物件とは|事故物件の告知義務

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イメージ/©︎keisuke kai・123RF

不動産の物件を探していると備考欄などに「心理的瑕疵あり」という記載を発見することがあります。少々難しい漢字ですが「しんりてきかし」と読みます。

「心理的瑕疵あり」とは一体どういった物件なのかを本稿ではお伝えします。

なお、瑕疵とは、表面からは一見して見えない、見ることができない欠陥と思っていただければ、ほぼ間違いではありません。前回の記事「隠れたる瑕疵」にも近いので、読んでいる方には「なんとなく分かる」と感じていただけると思います。解決策も含めてしっかり押さえておきましょう。

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心理的瑕疵の例

さて、「心理的瑕疵あり」は不動産売買の契約、不動産賃貸の契約の際、「要注意」な項目です。まずは心理的瑕疵の例をご覧ください。

・過去に販売、賃貸募集している住宅(建物)で「自殺・殺人」などがあった
・過去に販売、賃貸募集している住宅(建物)で「事件や事故による死亡」などがあった
・過去に販売、賃貸募集している住宅(建物)周辺で「事件・事故・火災」等があった
・販売、賃貸募集している物件の周辺に「嫌悪施設」がある。
・販売、賃貸募集している物件の周辺に「指定暴力団等の事務所」がある

※嫌悪施設とはその名の通り、嫌われている施設という意味で、小学校・中学校等・清掃工場・葬儀場・火葬場・工場・遊戯施設・原子力発電所等・刑務所・産業廃棄物処理場・下水処理場・ガスタンク・風俗営業店など環境悪化や騒音・悪臭・大気汚染・土壌汚染などを誘発する施設などをいいます。学校が入っているのは、学校の放送や子供の遊ぶ声などを懸念する人がいるからです。このように分かりやすいものを一通り記載してみました。

心理的瑕疵には一つの基準があります。「それがあることが、契約前から分かっていたら、契約をしなかった」というように買主さんや借主さんに言われてしまうと「心理的瑕疵」に該当してしまうということです。

「チョット、チョット! そんな一方的な話ってあるの〜」という声が聞こえてきそうです。でも、これが「心理的な瑕疵」というものなのです。

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重要視されるのは受け手側の感情

このように、あくまでも受け手側(この場合だと買主・借主がどのように感じるか)の感情が重要視されるのです。この考え方には、「Aさんは平気だけどBさんは拒絶する」といったように、ある意味「曖昧」な部分が含まれています。しかし、認められているものですので、非常に注意が必要です。

では、この「心理的瑕疵」に該当する可能性がある物件を売却する際、どのようにすればいいのか? 

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一つ、例を出してお話しします。

ある不動産の取引で、自宅で病気のため家族が亡くなった家がありました。不動産屋さんに依頼して、売却活動をするとほどなく「購入希望者」が見つかりました。

売主さんは、自宅で病気のために亡くなった家族のことなど、「大変なこと」とは思えずに購入希望者にも、不動産会社にも伝えていませんでした。購入希望者の方と話し合ううちに「剛毅な方」という印象を受け、話もスムーズに進んでいました。そのまま交渉も進み、「購入申し込み」となったのです。ところがある日突然、不動産会社に購入希望者から怒りの電話が入り、購入申し込みの「キャンセル」が入ったのです。 

 

きっかけは話を誇張する近所の人

経緯はこうです。

購入希望者の方が時間が空いたたため、購入申し込みをした物件を外から眺めるために現地に行きました。すると、近所に住んでいる年配の方が購入希望者に近寄り、気さくに話しかけたのです。

購入希望者の方も、これからご近所さんとなる方ですので無碍にはせず、ちゃんと対応しますよね。ところがこの年配の方、近所でも評判がよくなく「話を大げさにする」のが得意だったのです。購入希望者は、そんなことはまったく分かりません。

この年配の方は購入希望者に、「(購入希望の家では)ここ数年、変死や病死が続いて、殺人の疑いがある」という話をしていたのです。そんな話を聞かされた購入希望者は、心中穏やかでいられるはずもありません。こんなことがあって、先ほどの「キャンセル」に繋がってしまいました。

その後のことですが、あわてた不動産屋さんが売主さんに事情を確認すると、年配の方の正体が分かりました。そこで購入希望者に、年配の方の人となりや事情を話してみましたが後の祭り……。

人は、先に入った情報が強く印象に残るということと、事前に「分かっていることを教えてくれなかった」(この場合、殺人の疑いは“盛られた話”であっても、病気のため家族が亡くなっていたという事実)ことから「キャンセル」が覆ることはありませんでした。不動産の売買契約までには至っていませんが、契約を済ました後だったら、ちょっと寒気がしますね。一歩間違えると、とんでもないトラブルに発展するところでした。こんなことが実際に起きたりするのです。

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トラブルを回避するには「できる限り全て」を説明すること

話を戻します。

結局のところ、トラブルを回避するには「隠れたる瑕疵」のときと同じように「できる限り全て」を説明すること、契約書に記載することなどしかありません(付帯設備確認書や物件状況確認書に記載するのもいいですね)。そのことによって「説明した=契約書に記載がある=確認した=署名した=了解した」ということになります。

現時点では、これを上回るいい手などありません。現在の不動産業者が作成する「重要事項説明書・売買契約書」は、こういった説明が執拗に入っています。つまり、必要だからですね。

皆さんも、不動産を売却するときは専門家に相談をして「できる限り全て」の事実を説明してください。くれぐれも、不動産業者から「それは黙っておきましょう」なんていう話にのってはいけないのです。

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この記事を書いた人

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